PC Watch様から頂いておりますコラム「セミコン業界最前線」を更新しました。
昨年12月に開催された国際学会IEDM(米国サンフランシスコ)ほかの研究発表からまとめた大容量不揮発性メモリ技術の解説です。
3次元クロスポイントメモリの次世代版とも呼べるメモリ技術です。
3D XPointメモリなどの旧世代では、2端子のセレクタ(セル選択素子)と2端子の相変化メモリ(記憶素子)で1個のメモリセルを構成していました。細長い角柱あるいは円柱のような構造です。
長さ(深さ)については実はセレクタが短く、相変化メモリが長いという特徴がありました。
相変化メモリが長いので、メモリセル形成のエッチングでは横縦比(アスペクト比)が長くなり、エッチングがかなり難しくなります。これは微細化(加工寸法の縮小)が困難であることを意味します。
また書き換え寿命ですが、相変化メモリが先に(早くに)劣化するという傾向がありました。
そこで相変化メモリを省き、セレクタにセル選択素子と記憶素子の両方の機能を持たせたのが、「セレクタオンリーメモリ(SOM)」です。エッチングのアスペクト比が短くなるので微細化の限界が伸びます。また書き換え寿命を制限するのはセレクタだけになります。記憶密度と長期信頼性の向上を一気に狙えます。さらに、3次元化したときのデッキ数を増やせると期待されています。
とはいうものの、課題はいくつもあります。まずマージンが狭い。セレクタのしきい電圧の高低でデータを記憶させるのですが、高低差はかなり小さいと思われます(定量的な値は明かされていません)。また読み出し動作でもセレクタに電圧が加わるので、読み出しサイクルという新たな寿命制限が加わります。
詳しくは記事をお読みいただけるとうれしいです。
あと、下記は3D XPointメモリの基礎を解説した同人誌(筆者は自分)です。宣伝でした(爆)。
3次元クロスポイントメモリ(3D XPointメモリ)の基礎(PDFフルカラー電子書籍版):こじくれワークス