PC Watch様から頂いておりますコラム「セミコン業界最前線」を続けて更新しました。
次世代マイコン/SoCの埋め込みメモリ開発では、MRAM技術が本命とされておりました。
現在のマイコン/SoCがプログラムコード格納用に内蔵している、埋め込みフラッシュメモリの代替用です。
ところがここにきて、マイコン大手ベンダーのSTMicroelectronicsがPCM(相変化メモリ)技術をマイコン用に開発して国際学会IEDMにぶっこんできました。記憶容量ではこれまでシリコンファウンダリが開発してきた最大容量の40Mbit(5MB)を軽々と飛び越えて。128Mbit(16MB)のシリコンダイを試作しております。
しかもテストチップのマイコンを試作して、大手顧客に評価用サンプルとして配布し始めたというニュースリリースを出しました。
テストチップが内蔵するPCMの記憶容量は6MBとややおとなしめですが、マイコンチップを作ってきたことがまた驚きです。
STMicroelectronicsはその昔に、Intelと組んでNumonyxというPCM開発の合弁企業を運営していたことがあります。そしてNumonyxでは複数の開発プロジェクトが走っており、その中にはSTMicroelectronicsと共同で埋め込みPCMを開発するというものがありました。
しかしその後、NumonyxをMicron Technologyが買収したことで、このプロジェクトは行方不明となってしまいました。
一方、複数のプロジェクトの中には、IntelとNumonyxによるクロスポイントメモリの共同開発プロジェクトがあり、これはその後、Intel-Micronが2015年に発表した「3D XPointメモリ」に至ったものとみられます。
国際学会IEDMでSTMicroelectronicsが発表したPCM技術の開発には、フランスの研究開発機関であるLetiが協力しています。
Numonyxとのプロジェクトとの関わりは、よくわかりません。もちっと調べてみる必要があるかも、です。