スイスのローザンヌで開催された半導体の国際学会「ESSDERC/ESSCIRC」からのレポートです。PCWatch誌に掲載していただいております。
「【ESSDERC/ESSCIRC 2016レポート】IntelとSTMicroのSoC用超高速レギュレータ」http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1023144.html
大規模プロセッサやSoCなどは数多くの電源ドメインに区分けして消費電力を抑制しています。また負荷の変動に応じてCPUコアの電源電圧と動作周波数を変えて処理性能と消費電力のバランスを最適化しています。ここでオンチップ電源は、電源電圧とクロック周波数を素早く変化させる(損失を減らす)ための切り札となります。
Intelと米国の大学が共同発表したDC-DCコンバータは、スイッチングレギュレータでインダクタをパッケージのボンディングワイヤで流用した点に特徴があります。インダクタは半導体プロセスでは作りにくい上にシリコンダイ面積を食うので、妙案と言えます。
STMicroelectronicsと米国の大学が共同発表したのは、DC-DCコンバータを内蔵するプロセッサです。DC-DCコンバータにはスイッチドキャパシタ(チャージポンプ)を採用しています。スイッチドキャパシタはインダクタンスが不要なので、スイッチング電源に比べると半導体プロセスとの相性が良いという特徴があります。ただし、大出力の電源には向きません。
ちょっとわからなかったのは、Intelらのシリコンダイが130nmのCMOSプロセスで製造されていること。ずいぶんと緩い線幅にも関わらず、高速応答を実現しています。