米国カリフォルニア州パサデナで開催中のIRPS(国際信頼性物理シンポジウム)から、現地レポート第2弾をPCWatch誌に掲載していただきました。
「金属配線の寿命は、電流密度で決まるとは限らない」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/semicon/20160425_754904.html
金属配線のエレクトロマイグレーション不良を台湾TSMCが検討した結果です。
エレクトロマイグレーションの進行は電流密度と密接な関係があることがすでに分かっています。
電流密度が高いと、エレクトロマイグレーションが速く進む。したがって配線の寿命は短くなります。そこで従来は、電流密度が局所的に高くなる箇所を問題としてきました。
これに対してTSMCは、電流によって金属配線に発生する張力(具体的には引っ張り応力)の大きな箇所を重視すべきだと主張しています。電流密度よりもむしろ、張力の大きな箇所が危険だとしています。実際に配線を試作し、主張が正しいことを確かめています。
もちろん張力の原因は電流密度ですので、電流密度が高くないと不良は発生しません。ただし発生箇所を推定するときに、電流密度が極大になる地点ではなく、張力が極大になる地点を危険視すべきだとの考えです。非常に面白い考え方です。