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漫画化(コミック化)を熱望するSF小説(2)「飢餓列島」

SF専門雑誌「SFマガジン」初代編集長を務めた「故・福島正実」氏とベテランSF作家「眉村卓」氏の共著による傑作長編「飢餓列島」です。



飢餓列島 (角川文庫)

飢餓列島 (角川文庫)


1974年に書き下ろし単行本として発行され、1978年に文庫版(角川文庫)が発行されたと記憶しています。残念ながら現在は絶版となっており、古本でしか購入できません。


自分は角川文庫版を読んであまりの真面目さに衝撃を受けました。日本のハードSFを代表する二人の作家が激論を繰り返して上梓しただけのことはあります。タイトルの通り、食料不足がテーマです。食料の不足によって日本社会の秩序が崩れ、そして崩壊していく様子がリアルに描かれています。



(以下は内容に触れる部分があります。ご了承ください)







最初に読了したときは「救いのない話をここまで描くのか」という呆然とした思いでした。
日本を飢餓が襲うときに社会が人々がどうなるのか。飢餓によって社会が崩壊していく様子はもちろんのこと、社会が崩壊した後の未来までを、恐ろしいほどの残酷さで描いています。


食料不足によってゆるやかに崩壊していく社会は、エネルギー不足によって崩壊していく社会でもありました。交通機関や流通機構などがゆるやかにダメになっていく。一般市民には肝心のことは知らせないまま、密かに生き延びようとする一部の社会エリート達。そしてついに始まるパニック。暴徒化する市民。密かに生き延びようとするグループの行方。これらが淡々と記述されていきます。


映画化するには悲惨すぎるので、漫画が映像化にはもっとも適切な手法だと考えます。漫画家は誰が良いか。勝手に話を進めます。←コラ


話題性から言うと、サラリーマン漫画の大家である「弘兼憲史」氏が「島耕作シリーズ」の後に手がけたりすると、あまりに違う作風にファンが驚愕するでしょう。眉村卓氏はサラリーマンを描くのがとても上手いので、相性は良いと勝手に思っています。でも無理だろうな。

追記)それに弘兼氏は冒険はしないでしょう。いわゆる「勝ち組に乗る」タイプに見えます。島耕作の派生品と劣化品を呆れるほど繰り返し生産するというその保守的・受動的な姿勢には呆れるばかりですし。ここでは推薦作家として挙げていますが、個人的には「大嫌いな作品」を書く漫画家という位置づけになっています。

脱線しました。すみません。


とりあえず、この小説世界が現実にならないことを心の底から祈っています。