Electronics Pick-up by Akira Fukuda

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漫画化(コミック化)を熱望するSF小説(3)「虐殺器官」

伊藤計劃氏(故人)の長編第1作にしてゼロ年代SFの代表作品と評される傑作SF小説です。


虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)


東西冷戦が崩壊した後の現代世界における、民族紛争やテロリズム、民族虐殺、少年兵、貧困、飢餓などの現実の問題に、近未来の米国軍事技術が重ねられる形で物語は展開していきます。「ぼく」(米国軍の情報将校)の視点で記される文章はとてもきれいなのにも関わらず、描かれる世界はきわめて残酷です。そして近未来の軍事技術同士が衝突したときの、なんとも言えないグロテスクさが印象的でした。


現代の国際社会が抱える現実の問題を近未来に投影し、「虐殺器官」という独自の視点(テーマ)で切り裂いた断面を見せてくれます。テーマが素晴らしいです。


勝手に選んだ漫画家さん候補はここから。全盛期の士郎正宗氏(アップルシードの執筆当時)が漫画化して描いてくれたらスゴイものができそうなのですが。今では、さすがに無理かなと。2013年時点でミリタリーな絵をリアルに描けて人間を魅力的に描ける漫画家さんが手掛けてくれたら、と妄想します。ガンスリ相田裕氏とか、ブラクラ広江礼威氏とか、ムーンライトマイルの太田垣康男氏とか、かなあ。難しいっす。


【追記】「虐殺器官」がコミカライズされました。
オープニングの内容が難しくて、心配になる展開です。

Kindle版もあります。


第2巻まで刊行されています(2017年9月現在の情報です)

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