Electronics Pick-up by Akira Fukuda

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文庫本「昭和30年代の「意外」な真実」

昭和30年代の「意外」な真実 (だいわ文庫)

昭和30年代の「意外」な真実 (だいわ文庫)

本体価格650円。書き下ろし。255ページ。


裏表紙には「100を超える仰天必至のエピソード」とありますが、昭和30年代に生まれた自分にとっては、「仰天する」ようなエピソードは1つもありませんでした。もちろん知らなかったこともあります。いくつかの例を、以下に挙げます。

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「東京タワー」の名称は一般公募で挙がっていたものとはまったく違っていた(当初は一般公募で決められるはずだった)


日劇ウェスタンカーニバルが今の芸能界の源流を作った


街頭テレビを設置したのはテレビ放送会社だった


テレビ普及のきっかけは皇太子(現在の天皇)のご成婚がきっかけではなかった


このくらいかな。しかし取り上げられている項目の大半は大まかには知っていることで、より詳しく知ることができた、というくらいでしょうか。昭和50年代以降に生まれた方にとっては昭和30年代を実感することは難しいので、40歳以下の読者にはそれなりに役立つと思われます。一方で50歳以上の読者からすると、問題ありです。


それから気になるというか、違和感があるのが、その時代の雰囲気を捉えきれていないことです。著者は資料には丹念に当たっているようなのですが、昭和30年代を生きた大人(例えば昭和35年に20歳台だった人は今は70歳台なので生き証人は膨大)に丹念にインタビューしているようには読めません。このため文章が描く雰囲気とのズレを感じてしまうのです。


その点では、以前にご紹介した「本当は怖い昭和30年代」は時代の雰囲気をきっちりと表現していて、頷くことが多かったです。内容は粗っぽかったですけれども、ノリ良く読めました。


本当は怖い昭和30年代 〜ALWAYS地獄の三丁目〜

本当は怖い昭和30年代 〜ALWAYS地獄の三丁目〜


「本当は怖い・・・」に比べると「昭和30年代の・・・」は記述は正確なのですが、何か上っ面というか、面白くないんですよ。江戸時代に生きた人にインタビューすることは不可能ですが、昭和30年代を生きた人にインタビューすることは十分に可能です。むしろ存命中にインタビューすべきです。あと何十年かしたら、彼らはこの世からいなくなってしまうのですから。いろいろ残念な本です。せっかくの書き下ろしなのに。