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日本の2010年代を考える(そのご) 「若年労働力が不足する」の大嘘

関連エントリー:日本の2010年代を考える(そのよん)
http://d.hatena.ne.jp/affiliate_with/20100110/1263204098
ずっとさぼっていてすみません。これからは突発的に思い付いたことを書いていきます。


今回のテーマは「若年層の労働力不足」です。大嘘でしたね。
その昔に社会問題として議論されたのは「将来は若年層の人口が減るので、日本全体の労働力が不足する。すると日本の経済成長に悪影響を及ぼす」。粗く言ってしまえばこんなところです。


どのくらい古い話かというと、昭和46年(1971年)の経済白書で若年層の労働力不足を論じていますので、短くとも40年前から、ということになります。
http://wp.cao.go.jp/zenbun/keizai/wp-je71/wp-je71-02302.html
http://wp.cao.go.jp/zenbun/keizai/wp-je71/wp-je71bun-103h.html


でもって女性労働力の活用とか高齢者雇用の促進とかが議論されたのはご承知の通りです。


ところが。


現在の雇用情勢がどんな具合かというと。


年齢層別にみた完全失業率の推移(中小企業金融公庫 図表2)
http://www.c.jfc.go.jp/jpn/result/report/c3_08100.pdf
完全失業率が最も高いのが15〜24歳、次に高いのが25〜34歳。若年層です。
高齢者の失業率は低いです、とっても。


若年層(15〜34歳)の有業率と無業率(総務省統計局 平成21年)
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/topics/topi36.htm
平成19年のデータですが、男性の29.3%、女性の24.8%が無業者(家事手伝いを除く)です。男性の3割は職がない。


続いて有効求人倍率の推移です。若年層だけではなく、全体の雇用情勢をみます。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001062190
2007年の11月に0.98となって以降、ずっと1.00を割り込んでいます(季節調整値)。
2009年にはさらに下がって0.50を割り込みました。最新のデータは2010年1月で0.46です。
非常に厳しい情勢であることが分かります。


企業には新規採用の意欲はあまりありません(帝国データバンク「2010年度の雇用動向に関する企業の意識調査」)
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/keiki_w1002.html
調査対象企業(1万624社)の半数近く(47.5%)が2010年度(2010年4月〜2011年3月)の正社員雇用予定は「なし」と回答しています。2008年度が30.4%、2009年度が45.9%ですので、急激に悪化した2009年度に続いて厳しい状況が続いています。


この調査で重要なのは非正規雇用社員(派遣社員、パートなど)の状況が正社員雇用よりも悪いことです。が2010年度(2010年4月〜2011年3月)の採用予定「なし」企業は57.0%に達しています。まさに雇用の調整弁。悲惨です。


そして新卒雇用状況です。
大卒の就職内定率は2010年2月時点で80%です(厚生労働省)。前年を6.3ポイント下回っています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000004sab.html
高卒の就職内定率は2010年1月末時点で81.1%です(厚生労働省)。前年を6.4ポイント下回っています。
中卒の就職内定率は2010年1月末時点で17.0%です(厚生労働省)。前年を1.9ポイント下回っています。「金の卵」はとっくに死語ですね。


というわけで「若年労働力の不足」は大嘘であると現実は語っています。
いや本当は不足しているのかもしれませんね。政府は今でも不足と考えているかも。でも企業は若者を雇わない。「若年層の失業」が現実の問題、今そこにある危機、になっています。