Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

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ISSCC現地レポートが始まりました。最初は前日レポートです。その裏側をちょっとだけ。

PC Watch様にISSCCの現地レポートを掲載していただきました。

pc.watch.impress.co.jp


メインカンファレンス前日からのレポートです。
開催概要は主にプレスキットの情報を使っております。

ただし、発表者の国・地域に関するカウント、言い換えると国・地域別の発表件数は、前日に入手したプログラムを手作業で計算したものです。あ、もちろんエクセルに入力はしていますが(苦笑)。

なぜこんな面倒なことをしたかというと。
昨年11月の東京で記者会見があったときに、ISSCC極東委員会が、国・地域別の発表件数を公表しなかったからです。実は2016年までは、口頭で件数を教えてくれたのです。しかし昨年からは、公表しなくなりました。もちろん、質問して得た回答です。

しかも回答してくれた委員会のメンバーはこう言ったのです。「数字が欲しかったらプログラムがあるので自分で数えろ」と(正確には覚えていませんが、趣旨は間違いありません)。

ちなみに北米とアジアと欧州の合計件数を委員会は公表しています。ただし、論文筆頭著者(ファーストオーサー)だけをカウントした結果です。例えば筆頭著者が日本で、2番めの著者が米国で、3番めの著者がカナダだったとしましょう。委員会の公表件数では日本に1件、となります。米国とカナダはカウントされません。ゼロです。

そこで、いささかカチンときた自分はですね。そんなら、著者全員の所属から国・地域をカウントしてやろうじゃないかと。さきほどの例では、日本に1件、米国に1件、カナダに1件と計上しよう。

問題は、論文が1件だけど著者を合計すると3件になってしまう。これは無視しました。なぜかというと、ISSCCの研究論文の著者が世界各地域にどの程度まで広がっているかを調べるのが目的だからです。0.3件とか0.2件とか、細かいことはいいんだよ。大事なのは、何カ国かなんだよ。

すみません。少し興奮しました。

それで延々と200件あまりの採択論文を調べて分類した結果が、記事の本文です。ISSCC極東委員会の発表では18カ国・地域だったのが、自分のカウントでは26カ国・地域に増えています。

そして公表情報からは見えなかったものが、独自集計で見えてきました。例えばポルトガルです。独自集計では7件の発表があります。これがISSCC極東委員会のカウントではゼロ件なんですね。

ISSCC極東委員会が記者会見でプレゼンした資料。欧州にポルトガルがありません。
[画像] 【イベントレポート】【ISSCC 2018前日レポート】世界26カ国/地域から半導体研究の最新成果が集結 (8/19) - PC Watch

筆者が独自に集計した資料。ポルトガルが7件もあります。
[画像] 【イベントレポート】【ISSCC 2018前日レポート】世界26カ国/地域から半導体研究の最新成果が集結 (14/19) - PC Watch


理由は明白です。ポルトガルの著者はすべて、第2以降の論文著者だからです。でも7件もあります。
これを無視して良いのだろうか。良いとは言えません。

(追記、マカオの大学の先生がポルトガルの大学を兼務しているために、ポルトガルの件数が多く出ているとのご指摘を受けました。調べましたところ、すべて兼務でした。誤解を与えるとまずいので追記します)

そして自分も、前年までは同じ穴に棲んでました。筆頭著者のカウント数だけから、国・地域別の件数を記事に書いていたのですから。えらそうなことは言えません。


問題は来年以降をどうするか、です。困りました。
また同じことをするのは大変だし。あううう(泣)。