EETimes Japan様から頂いておりますコラム「研究開発のダークサイド」の第4回が掲載されました。
「研究開発のダークサイド(4):研究における結果の誤り(研究ミス)と、研究不正の違い」
http://eetimes.jp/ee/articles/1702/21/news024.html
科学技術における研究開発の成果は、正しいとは限りません。過去には数多くの誤りがありました。でも誤っていることと、「研究不正」とは無関係です。研究にはいろいろな制約がありますし、ミス(過失・過誤)もあります。これらは不正ではありません。
不正と過失を分かるのは、不正をする意思の有無、故意かどうかです。過失で論文を丸ごと捏造することは考えにくい(苦笑)のですが、実験には試料作成や実験器具、測定器具などで誤りの入り込む余地があります。測定限界を超えることはできません。
少し時代を遡ると、17世紀初めころに顕微鏡と望遠鏡が発明されたことで、科学は大きな広がりを見せました。微生物を扱う学問の発展は、顕微鏡無しには有りえませんでした。しかし顕微鏡は当初、可視光線を使う光学顕微鏡で、分解能はあまり高くなかった。電子顕微鏡が登場するのは、光学顕微鏡の登場から、300年以上も後のことです。電子顕微鏡によって、病原性ウイルスは初めて観察可能になりました。
電子顕微鏡が開発される直前の血清学と細菌学の限界を象徴するのが、野口英世の悲劇です。この部分については記事を参照してくださいませ。