Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

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コラム「ストレージ通信」を更新。「STT-MRAMの不都合な真実」

EETimes Japan誌で連載しておりますコラム「ストレージ通信」を更新しました。

「STT-MRAMの基礎」を解説するシリーズの第14回(最終回)です。


「STT-MRAMの基礎(14):スピン注入型MRAMの不都合な真実
http://eetimes.jp/ee/articles/1606/21/news027.html


スピン注入型MRAMの商用化に立ちふさがる課題を製造技術面から解説しております。
これを300mmウエハー全体でやるんですから、ちょっと気が遠くなります(詳しくは本文をご参照ください)。


<本シリーズではふれられなかったオマケ>
講演にはなかったけど大事なこと。
電子スピンはしばしば、電子の自転で説明されます。自転が磁気モーメント(と磁化)を生み出すとともに磁気モーメントの方向を決めると。


でもこれは古典論で分かりやすく説明しただけで、厳密には間違っています。電子スピンは電子の「角運動量ベクトル」であって、自転ではありません。電子スピンは量子論的存在なので、古典論では本来、説明できないんです。分かりにくいですね。


電子スピンが自転でないことの傍証に、自転の速度があります。自転だと仮定して自転の速度を計算すると、光速を超えてしまうのです。超光速はあり得ません。したがって自転ではない、ともいえます。


それでは何なのか。うーん。量子論って、分かりにくい。