- 作者: 杉元伶一
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2001/07/01
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1993年に週刊モーニング誌に連載され、一部の読者から熱狂的に支持されたディストピア(反理想社会)ものの作品です。舞台は近未来の日本。日本社会を支配するのは「国民クイズ体制」という、クイズに勝ちさえすれば、どんな望みでもかなうという夢のような体制です。もちろん、夢をかなえるためには恐ろしいリスクがあるのですが。
毎日、午後7時から4時間の生放送テレビ番組「国民クイズ」が「国民クイズ体制」を現実化する舞台装置。作品はテレビ番組「国民クイズ」のオープニングから始まります。
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毎晩、自らの欲望をギラつかせて出場する500名の挑戦者(予選を勝ち抜いた方のみが本選と呼ばれるテレビ番組に出場する)。挑戦者が望む内容がまた自分勝手というかやりたい放題。主人公である司会者がそれを褒め称える構図がなんともいえない雰囲気を醸し出しています。
作品では「国民クイズ」を進行させながら、クイズの仕組みを説明しつつ、もう1つの日本社会の現状が語られます。番組の途中で挟まれるテレビコマーシャルや政府広報、コーナーなどがまた素晴らしく、風刺が効いています。「民主主義はもういらない。あなたのための全体主義」、「4時間の合法的な革命」といった刺激的なコピーが並び、作品を盛り上げます。
国民クイズの醜さと怖さを十分に読者に解説した後、ストーリーは怒涛のごとく進みます。世界最強の軍事国家であり、国連最強の国家として世界に君臨する日本。国民クイズで勝利した出場者の欲望を達成すべく、世界中で大迷惑をかけまくります。まるで経済成長と市場規模を武器に世界中でやりたい放題の、某アジア共産国家とその国民のようです(20年前の作品とは信じられないくらいの先見性です)。
この作品を理解するには、政治経済社会に関する一定の知識が求められます。その意味では「R18作品」ですし、高校生以下の方は読んでも理解がおよばないのではないかと。逆に大学生以上だったら、必読の作品です。
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