地球外知的生命体の探査活動「SETI」。近未来の地球人類はSETIによってついに、地球外知的生命体(異星人)とおぼしき発信源からの電波を検知する。検知した電波は本当に異星人からのものなのか。電波にはどのようなメッセージが託されていたのか。その解読方法(暗号方法)はどのようなものか。全2巻の小説「コンタクト」の上巻はこのようにストーリーが進みます。
- 作者: カール・セーガン,Carl Sagan,池央耿,高見浩
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SETIチームを含めた電波天文学者を中心とする科学者達は、ついにメッセージの解読に成功する。それは地球の科学文明では説明が不可能な、物体の設計図だった。メッセージは設計図だけではなく、構成部品の製造方法と検査方法も詳細に指示していた。物体は異星人が送り込んだ「トロイの木馬」かもしれない。地球規模で物体の製造を巡る議論が沸騰する。「コンタクト」の下巻は異星人からのメッセージを巡り、神とは何か、宗教とは何か、といった人類共通の問いかけを含めながら、異星人とコンタクトしてしまった地球人類の軋轢や叡知や決断などが精緻にリアルにスリリングに示されます。
- 作者: カール・セーガン,Carl Sagan,池央耿,高見浩
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この一大傑作がなぜか、新刊では読めません。Amazonの古本でしか読めないのです。新潮文庫で増刷されないのが不思議でなりません。そんなに売れてないのでしょうか。
作者は世界で最も著名な天文学者の故カール・セーガン氏。せーガン氏は数多くの書籍を記しています。
「コンタクト」は映画化されており、DVDとBlu-rayディスクが新品で購入できます。私は初めに映画を見ました。これもなかなかの傑作です。お薦めです。
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映画と小説では一部が違っています。主な違いを上げておきます。
映画は分かりやすいです。たぶん、誰でも(社会人であれば)理解できます。なんといっても映像の迫力は凄いです。電波天文台のアンテナ、異星人のメッセージを解読した設計図、建造された物体などは映画でないと拝めません。映画では小説のかなり重要と思われる部分がカットされていますが、それでも十分に哲学的であり、考えさせられる作品になっています。
これに対し、小説は科学的専門知識(かなりかみ砕いてあるのですが、それでも難しい)を要求する上に、哲学や宗教などに対する一定の基礎知識がないと、読めない部分があります。しかも結論を明快には示さず、読者の判断や思考に委ねているところもあります。その代わりに、リアリティは質・量とも圧倒的です。天文学者というプロフェッショナルが内蔵した知識や哲学などを吐き出すと、小説家が勉強した程度ではとても追い付かない、と思わせられます。
両方を見る・読むべきです。先進国で生活する人類ならば、必読の作品と評価してもよいくらいです。それほどの傑作です。
観賞する順番はまず「映画」、それから少し時間を空けて「小説」がよいでしょう。その方がガッカリする危険性がないですから。
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