Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

パソコン小説(ノベル)の発展と今後(第2回)

 筆者がPDFで小説を読んだのは,5年以上前のことになる。最初はウエブサイトからのダウンロード購入(ビットキャッシュ)で読んだ。その後,CD-Rを購入して読んでみたこともある。

 いろいろ試してみた結果はどうだったか。良い点は,1)単行本を買うよりも安い,2)イラストがすべてフルカラーなので美麗,3)保管場所をとらない,など。悪い点は,1)文庫本よりもノートパソコンは重いので持ち運びが不便,2)読んでいると目が疲れる,3)画面の大きさの調整に手間取る,など。特に困ったのは画面の大きさ調整で,1ページ全体をうまく表示してくれない。うまい具合に調節するのが結構大変だった。

 当時は「PDF本は普及しない」という結論を個人的に下した。文庫本の方が圧倒的にコンパクトで持ち運びやすくて読みやすい(目が疲れない)からである。たいがいの読者は,安い文庫本を購入する。高い単行本を購入するのは,物好きか,よほど大事か,経費で落ちるときくらいだろう。

 結局,予想は的中し,PDFは今に至るも書籍に普及しているとは言えない。「PDFの登場で紙の本は消えるかも」といった一部の期待は見事に裏切られた。

 最近では新古書店が発達しているので「新刊を新古書店で安く購入する」,「読む」,「繰り返し読まないと思ったら新古書店に売却する」というサイクル(リサイクル?)がある程度,確立している。PDF本はこの流れに乗れない。ますます不利である。

 PDFの功績は出版界にはほとんどなかった。その代わり,一般社会における功績はとてつもなく大きい。文書を誰でも,印刷品質のデータ・ファイルとして保存し,配布できるようになったからである。決算書,製品マニュアル,セミナープログラム,注文書,仕様書など,さまざまな文書がPDFとなり,ウエブサイトや電子メールなどを通じて配布されるようになった。「印刷しない印刷品質の配布物」が急速に普及し,印刷業界は少なくない打撃を受けた。

 PDFが社会に普及した理由としては,アドビ社が閲覧ソフトウエアを無料で配布し続けながら,閲覧ソフトウエアとPDFを継続してバージョンアップしたことが見逃せない。継続的なバージョンアップがあったから,PDFは標準の地位を不動のものにできたのだと考えている。--第3回に続く--