前回のエントリー 「常務 島耕作」第2巻を読む
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(注:以下は第3巻の内容にふれています。あらかじめご了承ください)
第3巻は全体として、作者が中国各地と日本で取材した内容(場所や企業など)を紹介している、という印象がつきまといます。言い換えると、取材した内容で各エピソードをつないでいるように見えます。そのため、読んでいて通り一遍といいますか、物足りない。
中国工場の運営の話が第3巻の始めでも続きます。北京初芝の社長が、中国で運営が上手くいっている企業の工場を取材して、その方法を、労働争議が起きた工場に応用して争議を解決に導きます。ここでやっと北京初芝の社長らしいエピソードとなります。
そこからは、中華料理屋を西新宿で営む中国人女性がらみのエピソードが続きます。この女性が巻き込まれたトラブル(第2巻から出てきます)と、その結末までです。作者特有の安易な解決シナリオ(とりあえず殺してしまう)が出てきて、少しうんざりします。西安ビジネスの基礎情報がオマケとしてついてきています。
後半では介護ビジネスを取材した結果と思われるエピソードが出てきます。しかし内容は浅いです。しかも未来(商用化時期)との距離感が示されておらず、読んでいて混乱します。介護ロボットを出したいのは理解できますが・・・。
第3巻の前半はやっと伏線回収ができたのでまあまあ良かったのですが、後半が結構にダメダメできつい。中国人女性の自殺が未遂に終わるのも彼女の人脈を考えれば当然で、先が読めてしまう。そして登場人物の男性の大半が愛人持ちという(島耕作は独身なので例外)、違法行為すれすれを「男の甲斐性」のごとくシレッと書いてしまう時代錯誤が結構きついです。それでも大人気という「島耕作シリーズ」。少し情けなくなります。