Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

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EDNの発行元であるCanon Communicationsを競合誌EETimesの発行元United Business Mediaが買収


電子技術誌EDNの発行元であるCanon Communications(CC)が、競合誌EETimesの発行元United Business Media(UBM)によって買収されることが9月16日に公表されました。買収金額は2億8700万米ドルです。独禁法の審査を経て譲渡が正式に決定されます。


CCのリリース
http://www.cancom.com/archives/861


UBMのリリース
http://www.ubm.com/ubm/media/releases/2010/2010-09-16a/


EDNはこの2月16日にReed Business Information(RBI)からCCに譲渡されたばかり。
http://d.hatena.ne.jp/affiliate_with/20100305/1267955663
わずか半年余りでオーナーが再び代わることになります。


わずか半年。ここである疑惑が浮上します。
CCはUBMと買収交渉を2月以前にもしていたと考えられます。わずか半年で案件が持ち上がって合意に至るのは日程としてふつう、無理です。


すると、CCがRBIからEDNを買収することは、今回の案件に含まれていたのではないでしょうか。RBIとUBMはEDNとEETimesで競合関係にありますので、直接の買収は困難だと考えられます。そこでCCを経由してUBMがEDNを買収したというシナリオです。


当然のごとくわき起こる疑問は買収のねらいは何なのか、です。最も直接的かつ分かりやすいのは、CCの事業部門のなかで競合しない医療関係などはそのまま残し、競合関係にあるEDN事業は(しばらくしてから)閉鎖するというものです。米国の電子技術誌向け広告市場は非常に厳しい状況にありますので、1誌を休刊させることにより、EETimesのビジネス環境を少しは良好なものへと改善させます。


ただしこれ(EDN事業の閉鎖)を実行した場合は、有志がUBMを飛び出して(あるいは解雇されて)別の電子技術誌を立ち上げる可能性があります。


もう一つの可能性は、EETimesとEDNをより詳しく比較し、統合してしまうというものです。EETimesは元々はCMPという別の企業が発行しており、CMPをUBMが買収したという経緯があります。UBMのビジネスユニット群のなかでもEETimesは独立したグループと位置づけられています。EETimesの業績もEDNと同様に芳しくありません。そこで両者を統合整理して収益力の高いメディアにモデルチェンジするというシナリオも考えられます。


また、EETimesとEDNは海外戦略に大きな違いがあります。EETimesはライセンスや合弁などが多いのに対し(日本版はライセンス方式)、EDNは現地法人(日本版は現地法人方式)が多いです。CCは中国、シンガポール、日本に現地法人を抱えています。ライセンス方式はローリスク、ローリターン、現地法人方式はハイリスク、ハイリターンです。


いずれにせよ、CCをUBMが買収するときにEDN買収を織り込み済みであったとするならば、EDNの扱いをすでにUBMは方針として決めているはずです。それがどのようなものかは分かりませんが。