Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

セミコンダクタポータルの記事に異変


半導体情報のウエブ・サイト「セミコンダクタポータル」の記事に奇妙な現象が起こっています。
コラム「編集長の目」(津田建二編集長が執筆)が発生源です。
http://www.semiconductorportal.com/blog/


7月17日付けでインプレスによるE2パブリッシング出資の行方」というタイトルのコラムが掲載されたのですが、内容が修正された後、リンクがトップから消されたようです。
修正等の理由については「セミコンダクタポータル」のウエブ・サイトは明らかにしていません。




インプレスによるE2パブリッシング出資の行方」は目次からはリンクが消されていますが、ページそのものは残っています。下記がアドレスです。
http://www.semiconductorportal.com/blog/?docid=23860
この内容は最初に掲載されたものではなく、大幅な修正が施されています。
修正が施されていてしかもリンクが貼られていないのは奇妙に思えます。


コラム全体の主張は、「業界誌の出版社に出資している企業が広告主の候補企業となるのは、(雑誌の事業運営に影響を与えるので)編集権の独立性にとって問題がある」ことだと理解しました。またこのことは「BtoB雑誌ではありえない」としています。


ところで、週刊誌「ニューズウイーク日本版」を発行している阪急コミュニケーションズは阪急電鉄の100%出資子会社です。
http://www.hankyu-com.co.jp/company/index.html


阪急電鉄は、ニューズウイーク日本版の広告主の候補といって差し支えないでしょう。
ところで、ニューズウイーク日本版の編集権は、阪急電鉄によって何らかの影響を受けているのでしょうか。阪急コミュニケーションズはほかに「FIGARO」や「PEN」などの雑誌を発行していますが、これらについてはいかがでしょう。


この図式は、阪急コミュニケーションズをE2パブリッシングに、阪急電鉄チップワンストップに置き換えるとそのまま成立します。


そして自分としては、この問題は「実際の内容次第」であり、「読まれた方がどのように感じるか」が大切なのであって、先入観で捉えるべきではないと考えています。


ちなみにセミコンダクタポータルには以下の企業が出資しています(同社ホームページによる)。これらの企業はすべて広告主候補と言えるのですが、この点はどうなるのでしょうか。


 株式会社アドバンテスト
 アプライド マテリアルズ ジャパン株式会社
 NECエレクトロニクス株式会社
 株式会社荏原製作所
 サムスン電子株式会社
 ソニー株式会社
 大日本印刷株式会社
 東京エレクトロン株式会社
 株式会社東京精密
 株式会社東芝
 凸版印刷株式会社
 日本ヒューレット・パッカード株式会社
 富士通株式会社
 三菱商事株式会社
 三菱電機株式会社
 株式会社ルネサス テクノロジ
 ローム株式会社


企業としてのセミコンダクタポータルの取締役は社長を除くと、ほぼ全員がこれらの出資企業の方です。少なくとも経営的にはまったく独立ではありません。


自分は、セミコンダクタポータルの出力する情報を吟味していくことで、独立性の度合を判断する立場を採ります。
しかし、セミコンダクタポータル編集長の論理(少なくとも7月17日のコラム)では、資本関係から、すでに同誌の編集権の独立性は危ういということになります。
是非ともセミコンダクタポータル編集部の独立性について論じていただければと願います。



そして以下は、「編集長の目」7月17日付けコラムの修正前記事テキストです。
問題が生じたらただちに削除しますので、あらかじめご了承ください。

(以下、記事のテキストです、太字はこちらで付けました)



インプレスE2パブリッシング出資は良い方向へ向かうか

インターネットを利用する半導体商社であるチップワンストップが出資しているE2パブリッシング社にインプレスホールディングスが出資することになった。出資比率はインプレスが40%、チップワンストップが60%である。

E2 パブリッシングが発行している雑誌はEE Times Japan。この雑誌は米国のCMP Media社(United Business Media社に買収されている)から翻訳権を購入して、EE Times誌の翻訳記事と日本の編集記者が独自に取材して書く記事からなる。

この雑誌は編集権の独立という観点からは、まだほど遠い。広告主であり、出資者でもあるチップワンストップがマジョリティを占めるためだ。チップワンストップ半導体商社であり、雑誌の広告主の一人でもある。その商社にはCADメーカーの図研が出資している。毎号チップワンストップと図研の広告が掲載されており、編集権の中立性という図式は成り立たない。この雑誌には立派な記事を書く優秀な編集記者はいる。しかし、「所詮ひも付き雑誌でしょ」、という声はあちらこちらの広告主から聞こえる。特定の広告主のための雑誌は、今のところ読者から評価されないようだ。チップワンストップ側にとっては読者リストを活用できる広報誌だという認識になる。

実は、米国でも欧州でも日本でも同様だが、出版社は基本的に、広告主から独立した存在である。だからこそ、ニューズコーポレーションに買収されるダウジョーンズが編集権にこだわっている。編集権が守られる、すなわち誰からも編集記事に干渉されない、というスタンスを強調しているのである。B2B雑誌でも業界の関連企業が出資した出版社はこれまでありえなかったが、唯一E2パブリッシング社はこれまでのビジネスモデルに挑戦している。出版社であるインプレスがマジョリティを占め、半導体商社の出資比率がもっと下がれば、広告主からの独立性は高まる。しかし、今のところはまだそこまでに至らない。

インプレスによる買収は編集権の独立という点では良い方向に向かっていると言えるが、この中途半端なビジネスモデルの行方を見守りたい。


(2007/07/17 セミコンダクタポータル編集長)


(ここまで原文テキスト)


【追記】
津田建二編集長への公開質問状は7月26日現在、応答がない状態です。


【さらに追記】
http://www.semiconductorportal.com/blog/?docid=23860
上記ページのテキストは削除されました。
キャッシュがあるので近く掲載します。