Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

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エンジニアはみんな素晴らしい人?


自分はエンジニアを読者とする雑誌編集に長く携わってきた。
過去、「エンジニアすべてが人格者で、素晴らしい人で、有能である」という幻想を無意識に持っていた時期がある。それが意識化されたのは、ある方にそのことを指摘されたからだ。もちろん、エンジニアすべてが人格者で素晴らしい方で有能である、などという事実はない。

それなのに、どうしてそうなったのか。社会人になった当初はそんな幻想はなかった。なにしろ、研究室や部活動の先輩や同輩がエンジニアになるのだ。幻想などなかった(先輩方、同輩方、失礼をおわびします)。

大きな影響を与えたのは某新聞社系出版社での専門誌編集者時代だろう。
取材先の多くは大手エレクトロニクス企業。マスコミ対策には力を入れている。取材に対応する方の大半は、エンジニアでも将来の幹部候補生である。優秀でないはずがない。最初に取材したときは課長だったが、最近お会いしたときには取締役、という例があちこちの企業にあるのだ。

するとお付き合いのあるエンジニアはとても有能でしかも人格者(勤務先では人格的に問題があっても、マスコミ相手だと豹変することもある)ばかり。

そして読者。そもそも専門誌を読むのは、ある程度「やる気」のあるエンジニアやマネージャーであることが多い。エンジニア一般よりも、平均的な意識はどうしても高くなる(もちろん、雑誌の読者でない方がやる気がない方、という意味ではない)。

結局、エンジニアの中でも特定のグループだけを見て仕事をしてしまうことになる。そんな環境で仕事を10年以上していた結果が、「すべてのエンジニア=有能=誠実=人格者」という幻想だったのだろう。

エンジニアの実務経験がない悲しさ、現実が根付いていなかった。このため、根っこから塗り替えられていたのである。