「若者はなぜ3年で辞めるのか?」(光文社新書)を購入したのは、発行されてしばらく経ってからでした。初版後3カ月の時点で、すでに11刷を数えていました。かなり売れているようです。
読みました。
個人的には不満が残りました。若者はなぜ3年で辞めるのか?という問いに対する答えが状況として提示されているだけなのが不満の元です。若者への取材がないのです。転職紹介会社への取材はありますけれども。私は若者の直接の声が聞きたかった。
そして若者の対象が、いわゆる著名大学卒業後に一流企業(東京証券取引所上場クラス)に就職したグループであることに限定されているように見えるのが、不満です。社員1000人未満の企業に就職した若者が無視されているように見えます。
少しがっかりしました。
著者は東京大学法学部出身で元富士通の人事部門勤務です。富士通を辞めてベストセラー「内側からみた富士通、「成果主義」の崩壊」(光文社ペーパーバックス)を記しました。こちらは経験に裏打ちされた非常に読みごたえの有るものでした。
この本を読まなかった方は、「若者はなぜ〜」を読まれてもそれなりに参考になると思います。しかし、「内側から見た富士通〜」を読んだ身には、内容の重複感がつきまといました。そして製造業のエンジニアを取材している身としては、違和感のある記述もありました(例えば仕事の対象分野と求められるスキルが年とともに変わるのは、1980年代の時点でごく普通のことです)。
両方とも読んでいない方には、「内側から見た富士通〜」をお薦めします。