Electronics Pick-up by Akira Fukuda

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コラム「研究開発のダークサイド」を更新。第8回は「天動説の「再発見」」を解説

EETimes Japan様から頂いておりますコラム「研究開発のダークサイド」を更新しました。


「研究開発のダークサイド(8):近代科学の創始者たちに、研究不正の疑いあり(天動説の「再発見」編)」
http://eetimes.jp/ee/articles/1703/22/news030.html


天動説から地動説への転換は、天動説の「再発見」が始まりでした。天動説の集大成であるプトレマイオス天文学書「数学集成(アルマゲスト)」(原著はギリシア語)が、15世紀後半にきちんと翻訳(ラテン語訳)されたことがきっかけです。


アルマゲスト」の翻訳作業は、天文学者のポイルバッハ(プールバッハ)と弟子の天文学者レギオモンタヌスによって成し遂げられました。レギオモンタヌスが抄訳本「数学集成の適用」を出版するのは1464年。わずか36歳で早逝したポイルバッハの死後3年のことです。


この師弟はどちらも天才というか、とっても凄いです。山本義隆氏の大著『世界の見方の転換 第1巻』(みすず書房、2014年刊行)によると、ポイルバッハは「ギリシア語が読めなかったにも関わらず、「数学集成」をほぼ暗記していた」とあります。



レギオモンタヌスはわずか11歳にして大学に入学するという天才児。翻訳のためにギリシア語を勉強して師匠の訳文を再構成するとともに、師匠が著した論文「惑星の新理論」を出版します。そして「数学集成」を翻訳することで、「数学集成」の欠陥を見抜いてしまう。彼も、わずか40歳で早逝してしまいます。もっと長く生きていれば、もっともっと凄いことが起こったと思えてきます。ひょっとしたら、コペルニクスの到達点に先に行ってしまったかも、とすら思えるほどの偉才です。