Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

日経マイクロデバイスが休刊して3年余り、年間購読料30万円の超高額サービスが半導体産業向けに始まりました

半導体技術と半導体産業の専門誌「日経マイクロデバイス」が休刊したのは2009年12月末のことでした。

日経マイクロデバイス誌の最終号が届きました」
http://d.hatena.ne.jp/affiliate_with/20091226/1261901065
関連エントリ:雑誌から日経マイクロデバイスがなくなり、消息が不明だった一部の編集部員の行き先が判明しました
http://d.hatena.ne.jp/affiliate_with/20100103/1262510688


それから3年余り。日経マイクロデバイスを吸収した日経エレクトロニクスと、日本の半導体メーカーは手をとりあって衰退しつつあるように見えます。日経エレクトロニクスの「表3」ページが自社広告に変わってから、もう何号が経ったのでしょうか。最近では日経エレクトロニクスの広告索引を拝見するたびに、寂しさで涙を流しております(嘘です)。


日経マイクロデバイス日経エレクトロニクスの発行元たる日経BP社が、この4月1日から営業を開始したのが「日経BP半導体リサーチ」と称する会員制ウエブサービスです。3月は試運転ということで無料で閲覧できました。ちょこっと拝見させていただいたりもしました。今はもちろん、会員限定コンテンツは見ることができません。


年間購読料金は30万円(プラス消費税)または50万円(プラス消費税)と高額です。とてもしがないライター風情に払える金額ではありません。
http://techon.nikkeibp.co.jp/SCR/sales/index.html


もちろんこの価格は法人相手の商売で、個人は相手にしていません。30万円コースは5名分のオンラインIDが発行されます。最近では市場調査会社がよくやる手法ですね。


ただですね。内容を拝見すると、自分が例えば半導体製造装置メーカーに勤務していたと仮定して「これ良いですから30万円出して入りましょう」と上司に提案するコンテンツがほとんどというか、まったくというか、見えてこないんですよ。


30万円払うとなると、社内の稟議を通さなければならないのは当然ですよね。となると、例えば、ガートナーデータクエストとか、IDCとか、DRAMeXchangeとかのように「独自のお役立ちコンテンツ」が入っていないと困るんです。そこんところが見えてこない。まさか、インタビュー記事にそこそこの値段が付くと思っているわけではないでしょう。まさか、日経マイクロデバイスで過去に掲載された中古のコンテンツ(短くとも3年以上前の記事)にそこそこの値段が付くと思っているわけではないでしょう。


こういった一部の企業を相手にした商売というのは、それはそれはシビアです。通常はどこからも入手できなくて、でも企業としては大枚をはたいても欲しい、そんな情報を提供しなければビジネスが成り立ちません。


かつて「日経マーケットリサーチ」というオンラインの会員制サービスを日経BPは手がけていて、年間購読料金は10万円弱くらいだったかと記憶しております(間違っていましたらご指摘くださるとうれしいです)。独自の市場調査データがふんだんに掲載されていて、凄いなあと思っていたのです。でも商売としてはうまく行きませんでした。だいぶ前に撤退しています。


「日経マーケットリサーチ」が独自コンテンツてんこもりで失敗したのに、「日経BP半導体リサーチ」は独自コンテンツがあんまりなくて、さらに高額なのです。調査データ販売などは、外部の有料コンテンツの販売代理店のようにも見えます。日本語コンテンツしかないのもどうかなとは思います。でも英語コンテンツにするとコストがかかりますしね。難しいところです。


とりあえずはルネサス エレクトロニクスの清水洋治氏の連載コラムが独自コンテンツなのでしょうか。3万円のセミナーも開催されるようですし。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/SEMINAR/20130404/274854/
「清水 洋治 氏 (しみず ひろはる) ルネサス エレクトロニクス 技術開発本部 システムコア開発統括部 CPU開発第一部 主管技師 兼 技術企画統括部 技術企画部 主管技師 兼 MCU事業本部 MCUマーケティング企画部 担当部長 人財塾 塾長 半導体メーカーで、(1)半導体の開発設計、(2)マーケット調査と市場理解、(3)機器の分解や半導体チップ調査、(4)人材育成、という四つの業務に従事中。この間、10年間の米国駐在や他社との協業を経験してきた。これまで分解してきた機器/チップは5000種類を超える。」


編集部のコラムだと清水氏はなぜか「某半導体メーカー所属」となっています。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130404/274852/
なぜルネサスと書かないんでしょうか。よくわかりません。


それはそうと、休刊した日経マイクロデバイスの出身者は、日経エレクトロニクスではそれなりに出世していたのですね。日経マイクロデバイス編集長だった大久保氏は今や、日経エレクトロニクス編集長です。日経マイクロデバイス編集記者だった大下氏は日経エレクトロニクス編集記者となり、このたび、日経BP半導体リサーチの編集記者に就任しております。日経エレクトロニクスとの兼任かもしれませんが。


あんまり上手く行きそうもない新事業ですが、隠し球があるやもしれません。というか、隠し球に期待したいです。さもないと、2年くらいで潰れてしまいそうです。MEMSのときみたいに。


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