Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

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ソニーの人員削減で再びあれこれ考える

ソニー、1万6000人削減 世界でリストラ、正社員8000人含む」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20081210AT1D090A909122008.html
ソニー、米TV生産から撤退 ピッツバーグ工場閉鎖」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20081210AT1D1008Y10122008.html


過去にこんなエントリーを書いたことがあります。2005年3月ですね。
http://d.hatena.ne.jp/affiliate_with/20050314/1110768618
そこで再びちょっと考えました。


まず従業員構成から。
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/csr/employees/info/index.html
ソニーの総従業員数は2008年3月末現在で18万500名です。
2007年3月末に比べると1万7500名、増えています。
すると1万6000名減らしても、2007年3月末の水準とほとんど変わらないということになります。
もちろん自然減(定年退職等)はあるでしょうが、1万6000名というものすごく大きそうな数字も、ソニー全体からみるとわずかであることが分かります。ソニーは正社員の5%といっていますので、大ナタかどうかは微妙です。


地域別従業員比率です。2005年のエントリーを書いたときには、日本の従業員比率は40.9%でした。それが2008年3月31日現在では33.9%に下がっています。2005年以降、世界的な比率の不均衡を調整してきたことがうかがえます。ちなみに北米は14.0%(前回13.4%)、欧州は9.7%(前回13.0%)、パンアジア(東南アジアと中近東とアフリカとオセアニア)が10.7%、東アジア(中国、香港、台湾、韓国)が29.3%、中南米が2.4%です。


事業別人員構成は、2005年当時はエレクトロニクスが76.3%,ゲームが3%,映画が3.8%,音楽が7.4%でした。2008年3月31日現在はエレクトロニクスが85.5%、ゲームは2.8%、映画が4.1%、金融が3.8%、その他が2.5%となっています。エレクトロニクスの人員がさらに増えていることが分かります。


続いて売り上げ構成から。
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/financial/ar/2008/arj08_full.pdf


地域別売上高比率は欧米日そのほかが、ほぼ4分の1ずつになっています。具体的には欧州が26.2%、米国が25.1%、日本が23.2%、そのほかが25.5%です。感覚的には非常にバランス良く見えます。ソニーって本当に世界ブランドなんだなあ、と分かります。従業員比率と重ねあわせてみましょう。そのほか(パンアジア、東アジア、中南米の合計)地域の従業員比率が42.4%と最大比率になっています。人件費の違いを考慮すると、人件費配分も以前に比べると日本重視が薄れていることが分かります。バランスがよくなっています。


事業別売上高はエレクトロニクスが66.9%、ゲームが13.7%、映画が9.7%、金融が6.2%、そのほかが3.5%です。従業員1名当たり売上高ではエレクトロニクスが低く、ゲームが高いことが分かります。この構造は2005年当時とそれほど変わっていません。


2005年と2008年を比較するとよく分かるのは、地域別のアンバランス、すなわち日本偏重がかなり改善されてきたことです。世界ブランドであるソニーですから、「そのほか」の地域で優秀な人材を採用することはそれほど難しくないと考えます。1万6000名の削減ですが、ソニーが削減だけで終わるとは思えません。


人員削減と新規採用をうまく使い分けることで企業のパワーを上げていくと思われます。ソニーが今後、どの地域からどのような人材を採用していくのか、に注目です。