Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

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ET2006 超個人的レポート(というか備忘録?)


行こうか行くまいか。横浜は近くないし。結構悩んだ末に「組込み総合技術展 Embedded Technology 2006(ET2006)」を見てきました。最終日の午後というかなりギリギリでの決断です。

以下は完全に個人的興味に基づくレポートです。定量的な部分やあぶなそうな部分はウラ取りしてませんので誤っている可能性があります。あらかじめご了承ください。
なお今回はプレス参加ではなく、一般参加です。会場内は撮影禁止ですので写真はありません。


セイコーエプソン
http://www.epson.jp/device/
なぜ訪れたかというと、強誘電体不揮発性メモリの開発に関するリリースを貰ったからである。(11月17日現在、このリリースはまだホームページには掲載されていない)
でもって材料がPZTN系であることと、独自開発によるものであることが判明。PZTNは、PZTのチタン(Ti)が配置している部位をニオブ(Nb)で置き換えたもの。
試作したチップは64Kビット品。製造プロセスは0.35μmCMOS技術。電源電圧3V単一。動作温度範囲はマイナス40度〜プラス85度とかなり広い。アクセス時間は75ns。動作時消費電流5mA、待機時消費電流1μA。書き換え耐久性は、3ミリ秒ごとのデータ更新を10年間継続できるレベル。
強誘電体不揮発性メモリでは富士通が先輩格で、相当な商用実績がある。元祖企業として名高い米ラムトロン社のチップも富士通が製造している。エプソン富士通と共同で開発を進めるつもりのようだ。


富士通
というわけで(?)次は富士通へ。富士通の電子デバイス部門はCEATECを欠席しているので、ETあるいはESECに行かないと情報をアップデートしづらい。今回はなかなかの収穫でうれしかった。
まずは最近宣伝拡大中のフラッシュマイコン。ブースではフラッシュマイコンのパンフレット入りクリアケースを絶賛配布中だった。当然ながら、一部もらう。
フラッシュマイコンというと、米SST社のフラッシュメモリ技術を導入しているマイコンベンダーが少なくない。富士通はどうなのかが気になっていた。
関連会社であるフラッシュメモリベンダーの米スパンション(Spansion)が所有しているNOR型フラッシュ技術をベースにした独自技術ということだった。書き換え回数10万回(他社は1万回以下がふつう)、データ保持期間20年(他社は10年がふつう)、というのが富士通のウリである。
続いて強誘電体不揮発性メモリ(FRAM)のブースへ。単体メモリのFRAMと、FRAM内蔵論理LSIの両方が製品となっている。今回の目玉はソニーの非接触ICカードFeliCa」にFRAM内蔵論理LSIが採用されたこと。
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2006/11/7.html
このLSIは、セキュリティ評価記述の国際規格IEC 15408によるEAL(Evaluation Assurance Level)で4プラス(4+)のレベルを取得する見込みであることが最大の特長である。EALはレベル1からレベル7まであるが、民生用ではレベル4プラスまでしかない。これより上は防衛用や国家機密用になってしまう。それでいてメモリ容量は9KバイトとICカード用としては非常に大きい。
余談だが、ブースに展示してあったチップ写真のレイアウトがまたなんというか。全然わけがわからないシロモノだった。セキュリティ確保のために回路が読めないように対策してあるせいだという。
またICカードでよく使われているEEPROMに比べると、FRAMはメモリセルそのものが解読しにくいとの説明を受けた。今一つ理解が不十分であったけれども、推定はできた。EEPROMのデータ書き込みは電荷蓄積方式なので、電荷の有無そのものを外部からプロービングできる。FRAMは残留分極(双極子)なので、マクロ的には電荷ゼロである。FRAMの読み出しは、特定の極性に分極反転を試み、実際に反転するかどうかで判断している。これを外部プロービングで1個のセルに対してしかけるとなると方法がちょっと見つからない。こんな想像をしている。



・・・すみません。時間切れです。この続きは次回に。


追記:そういえば、今回気になったのが、ブースで質問していると説明員の方から「あなたは(いったい)何者ですか?」と尋ねられること。それも1回じゃなくて。うーん。こんなことは初めてである。


追記の追記:CEATECは説明員の知識がまったくダメなことが少なくないが、ETではそういうことがない。説明員の知識が深いので、こちらもどんどんノリノリで突っ込める。そういうわけで不満が起きないどころか技術談義、業界談義を堪能できた。悩んだけど行ってよかったETだった。





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