Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

インテル社のシリコン・ラマン・レーザー

 インテルIntel)社がシリコン(Si)基板を利用したラマン・レーザー技術を発表した。ラマン・レーザーとは、ラマン散乱による励起増幅作用を利用したレーザーです。光ファイバ通信で実際に利用されている。光ファイバ型のラマン増幅器に強力な光を入射して励起増幅を起こし、信号光を増幅する仕組み。シリコン基板を利用したラマン・レーザーは今回が初めてだとインテル社は主張しています。

 この件を詳しく知りたくて、いくつかのWEB専門誌を巡回してみました。

 Tech-On!(無料だけど登録が必要)の記事:これが最も分かりやすかった。励起光源にGaInAsP系長波長半導体レーザーを使っていると想像するが、ハッキリと書いて欲しかった。「ポンプ光の波長や共振器長を調整すれば,発振波長を制御できる」とあるが、ラマン散乱では原理的に励起光よりも少し長い波長の光を増幅することになってしまう。あと、共振器長の制御といってもどうするのかが分からない。
 あと、どの記事でも不明なのが、共振器です。ミラーをどうやって形成しているのか。ここがすごく肝心なのだが、書いていない。

 MYCOM PC WEBの記事:Tech-On!に比べると分量が少ないものの、説明は丁寧です。文系読者にはこれでよいと思う。ただし、「半導体レーザー装置にはガリウム砒素のようなIII-V化合物が用いられるが、非常に高価で」との記述は誤りだと思います。CDプレーヤー用の半導体レーザーがいくらなのかご存知でしょうか。インテル社のプロセッサーの方がずっと高価ですよ。「汎用的なシリコン半導体製造プロセスでコンパクトなデバイスを実現したことで、光通信技術の進展と普及を大きく後押しできる可能性を示した」との表現も素人まるだし。光ファイバがもう家庭に入っているのですが・・・。私の事務所も光ファイバを導入しております。

 EDNJapanの記事:文章がひどい。「赤外線を通すため、光を通すための」は意味不明。「シリコンの光ガイド」といきなり出てきます。何なのでしょうか。「過剰電子が時間とともに導波路に積み上がり」とあるが、電子は導波路に積み上がりはしません。お団子ではないのですよ。「導波路内にPIN構造の半導体を形成し」。シリコンは半導体です。半導体は余分。・・・すみません。もうやめます。

 この手の研究話になると、ほとんどのメディアが発表企業のいいなりに見える。もう少ししっかりしろ〜。