新潮文庫から発行されている自選ドタバタ短編小説傑作集第2巻「傾いた世界」です。
価格は本体438円です。
- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/10/30
- メディア: 文庫
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個人的な傑作は表題作の「傾いた世界」(約40ページ)です。水平状態から徐々に傾いていく海上都市をリアルかつシュールに描写しています。登場人物の名前が凝りまくり。そして海上都市の成り立ちがフェミニズムをおちょくりまくり。傾きの度数に応じて起こる数々の異常かつおかしな現象がすごく興味をそそられます。想像力を激しく刺激される、傑作だと断言します。
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この作品「傾いた世界」を原作に、誰かがコミカライズしてくれると、とってもうれしいです。「ブルーシティー」の星野之宣氏が描いてくれると最高かも。単行本1冊分にちょうどよい分量の原作にみえます。
そのほかに気に入った作品もいくつか。
「関節話法」 異星人とのコンタクトもの。間接話法ではありません。文字通り「関節」話法がテーマ。これだけで期待感が増します。そして内容はというと。良くこんなことを考えつくというか。最高です。
「最悪の接触」 異星人とのコンタクトもの。読んでるだけで頭がおかしくなりそうな作品です。酷い作品です(良い意味で)。
「毟りあい」 とても怖い作品です。怖すぎてネタバレせずに内容がうまく説明できません。とにかく傑作です。
「空飛ぶ表具屋」 江戸時代に空を飛ぼうとした表具屋の話。感動します。またフィクションとノンフィクション(日本の航空機大事故)の混ぜ具合がほどよくて。うれしいです。うるうる。ていうか、昔の日本のエアラインは怖すぎます。事故の原因がまた粗雑でこれでは大事故が続出したのも当然だと分かりました。当時は子供だったのでなんだかよく分からなかったのだけど、納得がいきました。
このほかに「のたくり大臣」と「五郎八航空」が収録されています。この2作もなかなかの味わいでした。
この自選ドタバタ短編小説傑作集は、第1巻「最後の喫煙者」の方が売れ行きが良いようです。でも「傾いた世界」の方が個人的には好きです。あ、もちろん「最後の喫煙者」の収録作品も傑作ぞろいです。すごく面白いです。こちらも後ほど紹介します。