Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

崩壊した専門メディアの競合関係


既存の専門メディア(専門誌や専門紙、業界誌、業界紙など)はこれまで、お互いを競争相手と見てきました。
専門メディアの収入は購読料金と広告料金で成立しています。競争するのは販売の部数と広告スポンサーの獲得でした。


しかしインターネットの登場と普及により、この図式はすでに崩壊しています。少なくとも広告スポンサーの獲得においては。


すでに、紙媒体の専門メディア同士は競争相手ではありません。紙媒体には広告を出してもその効果を定量化できない。その弱点が致命的なものになっています。景気が多少回復したところで、広告主企業の大半は紙媒体には戻らないでしょう。紙媒体の広告はどんどん縮小していく。このことは避けられません。


もちろん専門メディアはインターネット展開を進めています。ウエブ・サイトを開設し、ページビューを獲得し、広告バナーを作り、メルマガを発行し、紙媒体とネット媒体を連動させたパッケージ商品を作り、懸命に広告を売り込んでいます。



ですが最大の競争相手はメディアではありません。検索エンジンなのです。
それも大手の検索エンジンであるYahoo!とGoogleが、最大の脅威になっています。


自分の専門はエレクトロニクス分野なのですが、試しにエレクトロニクスのデバイスや部品の名称を上記の検索エンジンに入力すると、ずらずらっとスポンサーリンクが出てきます。その多くが、かつては紙媒体での有力広告主だった企業です。


例えばGoogleで「オペアンプ」と入力すると、アナログ・デバイセズ、Digikeyテキサス・インスツルメンツがスポンサーリンクとして登場します(2010年3月31日現在)。


例えばYahoo! Japanで「DRAM」と入力すると、チップワンストップ、OKIセミコンダクタなどがスポンサーリンクに出てきます(2010年4月13日現在)。


ほかにもオーディオアンプ、コンパレータ、LEDなどと入力していくと紙媒体の広告主企業がぞろぞろと登場します。


検索エンジンのスポンサーはクリック単価で料金が決まっているし、予算に応じたパッケージも組んでくれます。予算が尽きると自動的にリンクを外してくれます。しかも恐ろしいのは、「誰でも」検索キーワードのクリック単価を見積もれることです。例えば自分がGoogleの見積もりサイトで「コンパレータ」を見積もるとクリック単価は34円とありました。もちろん、二つの単語の組み合わせも可能です(単価は下がります)。


誰でも見積もりがとれる。このオープンさが、既存メディアにとっては脅威です。既存の専門メディアでは広告営業担当者が広告代理店と広告主の両方と打ち合わせていろいろな取り決めをします。当然、コストがかかります。ところがGoogleではこの部分(コスト)をすっ飛ばしてしまえるのです。したがって低コストな分だけ、広告単価は理論的には下がります。


もはや、既存の専門メディアは縮小していくパイ(GoogleとYahooが日々削っている部分の残り)を奪い合っているような余裕は与えられていない。お互いが知恵を出しあってでも検索エンジンに対抗する手段なり商品なりビジネスモデルなりを見つけないと、相当に厳しい未来が待ち受けているように見えます。