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日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

1300億円対2億円〜高知南国道路の不思議

先日、テレビ朝日報道ステーションで4月に建設が凍結されたはずの国道がどんどん凍結解除となっている、という問題を取り上げていました。
特に詳しく紹介していたのが、高知県の高知南国道路(国道55号線)です。工事費用1300億円。
事業波及効果は低いものの「命の道」(高知県知事)の意義を地元では強調しておりました。


この道路ができると、室戸市から高知市までの80kmほどの救急車搬送時間が2時間かかっていたのが、30分短縮される(1時間30分になる)そうです。ちなみに室戸消防本部から高知市に搬送する比率は救急搬送全体の20%といっておりました。


ここで素朴なギモンが湧きました。

1)1300億円かけて道路作るよりも、ドクターヘリといった救急ヘリを導入した方がずっと安いんじゃないの?

2)救急ヘリが安いんだとすると、結局は高知県そのほかの土建業者(高知県知事の支持母体かもしれません)に金をばらまくための道路なんじゃないの?

3)2時間が道路新設して30分短縮って、効果低そうだけどなぜ?

ちょこっと調べました。

毎日新聞地方版に南国道路の建設凍結解除の記事が出ておりました。
http://mainichi.jp/area/kochi/news/20090619ddlk39010617000c.html
15kmの道路に1300億円をかけるとあります。凄い。1kmに100億円近くかかっています。どうやったらこんなにお金がかかるんだろう。えらい難工事とか。
わずか15km。なるほど。室戸市高知市を結ぶなかで一部だけだったのですね。それで短縮時間が30分ほどだったのです。これで3)のギモンが解けました。


続いてヘリコプター救急とドクターヘリのコストです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%97%E3%82%BF%E3%83%BC%E6%95%91%E6%80%A5
http://y-murata.cocolog-nifty.com/diving/2008/11/post-02f5.html
だいたい年間で1億5000万円〜2億円の運用コストとなることが分かりました。


そして室戸市の救急出動回数実績です。室戸市消防本部のデータです。
http://203.139.202.230/index.htm?&nwSrl=222552&nwIW=1&nwVt=knd
2007年のデータですが、救急搬送の人数は1116名です。仮に1200名とし、その20%が高知市まで搬送されるとすると、240名となります。1300億円の道路が20年持つとして、1年間に65億円です。すると1名当たり2700万円のコストになります。

一方、ドクターヘリを仮に2億円とします。すると1名当たり83万円のコストとなります。ドクターヘリですと、道路の32分の1のコストで済むことになります。
このくらいの開きがあると、仮に道路の耐用年数を40年に伸ばしたところで16分の1になるだけで、ドクターヘリが圧倒的なコスト削減になることが間違いありません。


というわけで、1)のギモンにも答えがでました。救急ヘリ(ドクターヘリ)の圧倒的な勝利です。
まあ、道路にはほかの利用方法がありますが、この点では費用対効果に問題あり、ということで凍結されたんですから、そういうことなのでしょう。

ドクターヘリはヘリポート作れば室戸市以外でも搬送できますので、高知県全体でドクターヘリのネットワークを組めば、救急搬送1名当たりのコストはさらに下がります。


そうなると、一番の問題は「結局は高知県そのほかの土建業者(高知県知事の支持母体かもしれません)に金をばらまくための道路なんじゃないの?」というところに行き着いてしまいます。


注記)このエントリーは国道建設の凍結解除問題全般を考えるために書かれております。高知南国道路だけを批判するつもりはございません。報道ステーションで詳しく紹介していたために、調査しやすい題材だったということです。この点をご理解いただきますよう、よろしくお願いいたします。