Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

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半導体企業(およびエレクトロニクス企業)の競争力を考える


以前、2005年のSelete Symposiumからレポート記事を書いたことがあった。
三菱電機半導体プロセス開発技術者、そして半導体製造装置ベンダーであるアプライドマテリアルズジャパンの社長(および米国本社のバイス・プレジデント)などを経て大阪大学教授となった赤坂洋一氏の講演からだ。この講演には個人的に非常に感銘を受け、ほとんど衝動のような形で幸せな記事を書くことができた。


MYCOMジャーナル●
Selete Symposium 2005 - 企業の競争力を培うものは何か
(1)日本の半導体産業、利益なき繁栄と衰退
http://journal.mycom.co.jp/articles/2005/07/16/selete/index.html
(2) シリコンバレー企業の経営スタイル
http://journal.mycom.co.jp/articles/2005/07/16/selete/001.html
(3) ビジネスモデルを絶えず変化させる
http://journal.mycom.co.jp/articles/2005/07/16/selete/002.html


上記の記事はその後、赤坂研究室の活動記録集にも収録された。それなりには評価されたのだと思う。
そして最近、日経BP社のウエブ・サイト「Tech-On!」で電子機械局長の藤堂安人氏が、赤坂洋一氏をインタビューした。テーマは「半導体産業の競争力を考える」。
これがとてつもなく面白い。ぶっちゃけていうと「赤坂節」が炸裂している。


「勝とうとする意識とビジョンを」---赤坂洋一氏に聞く(1)
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20061218/125560/
「製造技術力を活かすと共に設計技術の強化を」---赤坂洋一氏に聞く(2)
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20061225/125832/

曰く、「コストダウン技術で遅れをとったのは確かなことですが,それは技術者の問題ではありません。トップのビジョンの問題です。トップは雑誌のインタビューなどいろいろな機会に「わが社は高品質技術で勝負する」「わが社は最先端技術を誇る」と言い続けてきたじゃないですか。「最先端のF1カーを開発せよ」と言っていたのと同じです。トップが,「とにかくコストダウンせよ。安価で,低燃費,高信頼性なオーナーカーを開発せよ」というビジョンを明確に提示していたら,日本の技術者だってコストダウンは達成できたはずです。」
曰く、「一つ言えるのは,海外メーカーのトップは任期がない代わりにいつでもクビにされるということです。日本ですと黒字になっただけで少なくとも任期中は安泰だったりしますが,海外では「韓国メーカーが8000億円も利益を出しているのに200億円とはどういうことだ!」と株主に突き上げられて,即クビでしょうね。トップに対する厳しさがまったく違います。」


嗚呼、日本の大手企業トップのなんと気楽なことか(本人はそうは思っていないだろうが)。「優秀な将軍に率いられた凡庸な兵隊の軍隊」と、「凡庸な将軍に率いられた優秀な兵隊の軍隊」が戦えば、前者が必ず勝つ。これは中国のことわざだが、自分もそう信じている。それだけ、トップの責任は重いのである。