Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

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エルピーダメモリと台湾PSCのDRAM合弁

エルピーダメモリが、ついに乾坤一擲の勝負をかけます。

エルピーダ、台湾PSCとDRAM生産合弁会社を設立」(PCWatch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/1207/elpida.htm
エルピーダ・PSC 台湾におけるDRAM生産合弁会社設立に基本合意」(リリース)
http://www.elpida.com/ja/news/2006/12-07.html


エルピーダメモリNEC日立製作所三菱電機DRAM部門を合体して誕生した、DRAM専業メーカーです。ただし主力製品は、モバイル機器やデジタル民生機器などに向けた低消費電力タイプなどのDRAMであり、最大市場であるパソコン主記憶用DRAMはほとんど手掛けていません。
理由は簡単で、価格はパソコン主記憶用が最も安く、利益を上げづらいからです。発足当初に膨大な赤字を垂れ流し、坂本社長を招へいしてようやく利益を上げられるようになったエルピーダメモリ。そのあたりの経緯はこちらの書籍が詳しいです。


エルピーダは蘇った 異色の経営者坂本幸雄の挑戦
エルピーダは蘇った」日経BP社)
ISBN:4822245233



エルピーダメモリは今年に入り、きちんと利益を上げられる体質になってきました。しかしそこで立ち止まらず、元々協力関係にあった台湾のメモリメーカーPSCと大々的にDRAM生産を始めることにするとは。正直、驚きました。足を止めるどころか、さらに速度を高め、疾走する。その姿は激しく変化する米国企業に優るとも劣りません。


合弁相手の台湾PSCは当然の相手とも言えます。PSCはエルピーダメモリにとってある意味、恩人のような企業です。そのあたりはこちらの記事に少し報じています。それは昔、エルピーダメモリからPSCに出張した技術者は、「生産技術でPSCがエルピーダメモリよりも優れている」との事態に衝撃を受けたことです。記事には、「PSCが生産技術で自分達よりも先に進んでいたという事実に(エルピーダメモリの技術者は)落胆して帰ってきた」とあります。


台湾の新会社にエルピーダメモリとPSCから技術者が出向して交流し、「高く売れるDRAM」ではなく、最難関の「最も安く作れるDRAM」に挑む。個人的には成功することを願っています。