Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

宇宙線ソフトエラーをアルプスで観測


EETimes Japan誌2006年11月号「アルプス高地のソフト・エラー観測施設、リアルタイム試験で推定精度向上へ」
http://www.eetimes.jp/
元の記事はここです。英文です。


宇宙線(主に中性子線)の観測施設に関する記事です。宇宙からの中性子線が降り注ぐ確率は高度で変わります。海面高度を基準にすると、高度が上がると確率が高まります。バンアレン帯と大気が宇宙線を防ぐ働きをするからです。当然ながら、人工衛星では宇宙線対策が欠かせません。
もちろん、土砂も宇宙線を防ぐ働きがあります。地下深くですと、宇宙線はほとんど届きません(素粒子測定施設のスーパーカミオカンデが地下にある理由がこれです)。


といっても海面高度では、中性子線が届く確率はほんのわずかです。中性子線によって半導体バイスフリップフロップやメモリーセルが反転するソフトエラーを観測することはほとんどできません。そこで少しでも確率の高い、高地で中性子線ソフトエラーを観測することになります。


米国ではコロラド州のボールダーで中性子線ソフトエラーを観測した実績があります。IBMの業績です。
ここで取り上げた記事では、欧州のアルプス、高度2552メートルの地点に宇宙線ソフトエラーの観測施設を設けたとの内容です。
観測施設を設けたのはASTEP(Altitude SEE Test European Platform)。CNRS-L2MPの傘下にある組織です。
http://www.l2mp.fr/astep/


中性子線ソフトエラーが問題となるデバイスはこれまで、DRAMSRAMが取り上げられてきました。
最近問題となっているのは、SRAMを基本素子とするタイプのFPGAです。SRAMですとエラー訂正符号などのソフトエラー対策が容易に採れるのですが、ロジックを構成するFPGAでは対策が簡単ではありません。このため、航空宇宙用ではヒューズ式などの宇宙線ソフトエラーが起こらないタイプのFPGAが使われる傾向があります。


なお中性子線ソフトエラーのメカニズムは、中性子線が半導体チップ中のボロンに衝突し、その結果、アルファ線を放出するためだとされています。詳しくは下記記事をご参照ください。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0331/irps03.htm