Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

コミック「イニシャルD」を完結させた「しげの秀一」氏の新作は中年男のラブストーリー



漫画家のしげの秀一氏といえば、「バリバリ伝説」と「イニシャルD」があまりにも有名です。バリバリ伝説には恋愛要素があったのですが、イニシャルDでは恋愛要素はばっさりと切り捨てられてほとんど野郎物と化しています。このため、しげの秀一氏の恋愛ものに馴染みのない方には珍しい作品かもしれません。


しかし。バリバリ伝説を連載している頃のしげの氏は、青春恋愛物の秀作をいくつか執筆しています。自分は短篇集「リリカルナイトストーリー」(たぶん絶版)などを読んでおり、しげの氏のラブストーリーのファンでした。バリバリ伝説も大好きで、単行本は最後までほぼ付き合えました。でもイニシャルDは連載が長すぎたのと公道バトルだけのストーリー展開で付き合えなくなってしまいました。その点では、公道からサーキット(鈴鹿4耐)へ。最後はロードレース(WGP)まで行ったバリバリ伝説は最高です。


すみません脱線しました。
でもってイニシャルDが完結してしばらくしたら。しげの氏が久々の恋愛物です。
しかも上下巻で完結という手頃な長さ。ウホ(喜)。わくわくでした。


でも、上巻の表紙を見て、軽く引きました。ギャル、好きじゃないんですよ。
下巻の表紙を見て、さらに引きました。売れ行きに悪く響かないか、心配です。
それとも自分の感覚がおかしいのでしょうか。作者とはほぼ同年齢なのですが。


でも中身ではそれほどでもありませんでした。大丈夫だよ。
ヒロインはギャルメイク姿はいまひとつですが、すっぴんは素晴らしい。これこそがしげの秀一氏の描くヒロインですよ。でもほんのちょっとしか出てきません。それも上巻だけ。寂しい。そいでもってヒロインの名前がまたアレで、これもちょっと引きました。


あ、すみません。主人公ですね。主人公は中年男。職業は売れない漫画家。名前は多村幸一。この名前は作者(本名は重野秀一)のもじりでしょうか。似てます。バリバリ伝説が爆発的に大ヒットしたしげの氏ですが、ひょっとして恋愛物はあまり売れなかったのかも。恋愛物をずっと書いてきてバリバリ伝説を書かなかった作者のもう1つの未来が主人公の多村幸一なのかな・・・などという勝手な想像をしてしまいそうです。


この冴えない中年男とギャルのラブストーリーが本作です。ミステリ仕立てで、結構に面白いです。上巻では謎に謎が重なっていきます。そして下巻では謎がどんどん解けて、伏線が回収されていきます。恋愛物のお約束、二人のすれ違いとかもあります。


しかしこの作品。作者がかなりやりたいように好き勝手に書いている、という感じがあります。お金がないと言っているヒロインのクルマがBMWとか、グルメ探訪みたいなデートとか。作者の好みで書いているように感じます。


この作品は、しげの氏にとっては、売れても売れなくても、どうでもよいのかもしれません。自分が書きたいものを書いてやる、といった開き直りを感じさせる作品です。個人的には許容範囲でしたが、ヒットするかとなると、難しい。イニシャルD作家のオーラで売れるのかもしれませんが。


【追記】Kindle版もすでに出ております。