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東京以外の「区」は自治体ではなかったのでした


週刊ダイヤモンドの2008年3月8日号の都市経済特集「大阪の敵は大阪」(144頁)を興味深く読みました。本文冒頭「大阪府大阪市を合体させて新たな行政組織をつくる・・・」。
http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=20242030808


そういえば、東京都はあっても「東京市」はありません。週刊ダイヤモンドが指摘する大阪の二重行政の問題とは、東京は無縁です。で、基本的なことをうっかり忘れていました。


東京の「区」は地方自治体ですが、大阪や名古屋や横浜などの東京以外の「区」は地方自治体ではなかったのですね。

基本的なところでWikipediaから:東京23区は「特別区」で市に準ずる
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E5%88%A5%E5%8C%BA
区長があって、区議会があって、予算があります。


同じくWikipediaから:東京以外の「区」は政令指定都市の「行政区」であり、独立した自治体ではない
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BF%E4%BB%A4%E6%8C%87%E5%AE%9A%E9%83%BD%E5%B8%82
粗くいってしまうと単なる地域分け。区役所はあるけど、市の組織の一部に過ぎません。市の支所とほぼ同じで、名称が違うだけですね。


それでは「市」と「政令指定都市」の違いはというと、政令指定都市になると都道府県の権限の一部が市の権限に移るのです(市の事務が増えるとも言えます)。一方で地方交付税や道路財源など、税金の配分が増えて予算が増額されます。また市が都道府県を飛び越えて、国(大臣)の認可で動けるようになります。


市役所からみると、「政令指定都市」になることは出世やあこがれのようです。でも住民からみると、メリットが良く分からないとの批判があります。例えば堺市です。

堺市のホームページでは政令指定都市のメリットを下記のように説明しています。
http://www.city.sakai.osaka.jp/city/info/_sitei/seimeri.html
これに反対する意見のホームページがこちらです。筆者の田中たけよし氏は堺市市議会議員です。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~sakai-tt/gapei/g-4%20.htm


このほか政令指定都市入りをねらっている船橋市のホームページを参考までに上げておきます。
http://www.city.funabashi.chiba.jp/kikaku/kouiki/seirei.htm

また少し古いですが、京阪神都市フォーラムで大阪市について議論した記録が面白いです。
http://toshiforum.hp.infoseek.co.jp/0108b.html


ぶっちゃけ、感じるのは、政令指定都市」は住民参加型自治の理想からは離れた制度だなあ、ということでした。
支所が区役所に変わっても、住民にとっては変わったという実感は薄いです。
川崎市中原区の住民は中原区民なのか川崎市民なのか。どちらの意識でいればよいのか。混乱します。

市議会はそのままで、「選挙区が区ごとになるから地域の声を反映しやすくなる」(船橋市ホームページ)はほとんど詭弁ですね。なぜ区議会が設けられないのか、さっぱりわかりません。東京と同様に、区議会を設けて区議会議員と区長を選出したほうが、ずっと地域の声を反映しやすくなると思います。


政令指定都市っていったい、なんのためにあるのでしょうか。
東京都と同じでなぜいけないのでしょうか。
神奈川県川崎市中原区は、神奈川県中原区にして、中原区議会と中区長と中原区役所で市と同様の行政権限と立法(条例制定)権限をもったほうが、ずっと地域住民にとってはありがたいように感じます。中原区民意識をもてます。川崎市は単なる区分けにして、市としての権限は廃止、のほうがすっきりします。大阪市も廃止したらよいのに。


というわけで?
東京23区の住民であることのありがたさを改めてかみしめたのでした。
住所を書くときに「東京市」を省けるのもすこしの節約かも。