日本テクトロニクスが任意波形/ファンクション発生器の新製品AGF3000シリーズを発売した機会に、ファンクション発生器の現況を調べてみました。記事がMYCOM PC WEBに掲載されております。
http://pcweb.mycom.co.jp/articles/2005/08/31/tektronix/
最初はテクトロの新製品記事のつもりだったのですが、記事を書いている途中でいろいろ調べているうちにこんなのになってしまいました。（←おいおい・・・
6品種あってそれぞれ比較する対象（従来品）が違うので、きちんと説明しようとしたら、このくらいの分量が必要ということです。幸い編集部の締め切りが緩かったので、自分としてはそれなりのモノが書けました。
一応書いておくと、信号発生器をベンダーさんがモデルチェンジするのは数年に1回ですから、設計が新しい方がどうしても、性能対価格比が高くなってしまいます。このため、テクトロ製品の宣伝みたいな雰囲気が漂っているのが悔しいところです。というか、新製品出して従来製品に見劣りするようでは困るんですがね。
それでは恒例の他誌めぐり〜。
Tech-On! by 伊藤大貴記者 8/23
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20050823/107799/
記者発表内容通りというか、かなり詳しいです。ただ末尾の文章「生成波形そのものを映せしたりできるようにした」と「波形の各種パラメータを確認したい場合には，オシロスコープを使って振幅などを調べる必要があった。」というのは怪しい表現です。信号発生器の出力はオシロスコープを使って確認するのが当たり前の作業だということが伝わりません。それから、AGF3000シリーズのディスプレイに表示される波形は本物ではありません。簡易表示です。この部分は訂正すべきだと思います。
追記9/6）まだあったです。1行目に「米Tektronixが開発」とありますが、誤りだと思います。日本テクトロニクスが主体となって開発し、ASIC開発を米国、ソフトウエア開発をインドのテクトロニクスが担当したとの発表資料を筆者はもらっています。
EETimes Japan by 薩川格広記者 8/23
http://www.eetimes.jp/contents/200508/2005_1_20050823124534.cfm
ごくごくオーソドックスな新製品記事です。おかしなところがないのは、さすがです。
組み込みネット 8/23
http://www.kumikomi.net/article/news/2005/08/23_01.html
最上位機種のAFG3252に絞った短めの記事です。
EDN Japan by 川村祥子記者 本誌9月号掲載
http://www.ednjapan.com/content/issue/2005/09/pulse/pulse05.html
本誌9月号（私は8月27日受け取り）にも同様の記事が掲載されていました。ここから明確に分かるのは、日本テクトロニクスはEDNJapan誌に対し、8/23以前に説明会を開催していたことです。NDA（非開示契約同意）に基づく事前リークというやつです。テクトロがEDNJapan誌を優遇していたことが伺えます。内容のツッコミは下記のごとく。基本的な構成として信号発生器の常識と今回製品の特長がきちんと分離されていないのはまあ、ありがちなので放置しておきますね。
・「サンプリングレート2Gサンプル/秒の波形を簡単な操作で作れる」←サンプリング速度は内部D-A変換器のことを指すんで波形を作れるとか書くと少し飛躍があるのですが。
・「USBインターフェースをフロントとリアに設置し、パソコンや波形ソースを入れたUSBメモリーとの接続性に考慮している。」←あいまいすぎ。フロントはUSBメモリ専用端子です。USBインターフェースと呼べるのはリアだけ。
・「任意波形ジェネレータとファンクション・ジェネレータを一体化した機種のサイン波形の出力周波数は、アジレントテクノロジー社製の80MHzが最高だったが」←誤りです。サイン波形であれば、エフエフ回路設計ブロックが100MHz出力のWF1956を製品化しています。「任意波形ジェネレータとファンクション・ジェネレータを一体化した機種」という限定で逃げるのは無しですよ。エヌエフの製品は名前こそファンクション発生器ですが、任意波形発生機能を備えています。それから、任意波形発生器は通常、ファンクション発生器を内蔵しています、つまり、一体化しています。その意味では、テクトロのAWG710B（400MHz出力）も入ってしまったり（苦笑）。
