Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

Freedom is not free.

Freedom is not free!(自由はタダじゃないぜ)from Team America.
http://www.teamamerica.com/


映画「チーム・アメリカ」ではないが、自由業はタダではないし、自由でもない。
自由業の自由は「上司のいない自由」に尽きると思う。
しかし、この「自由」を得るにはお金がかかる。かかりまくる。


会社員に比べると、まずいきなり、保険料が2倍以上になるのだ。
多くの会社は、社員の社会保険を半分負担している。一部の企業は75%負担という太っ腹振りである。まずこれだけで、確実に50万円くらいの年間負担増である。


そして税金。個人事業の税率は、給与所得に比べると実際には高い。給与所得者は、一定額を必要経費として差し引いた金額が、所得とみなされる。個人事業にはこの控除(給与所得控除)がない。必要経費を引いたらまるごと課税対象である。


さらに帳簿付け。青色申告のためには、いくつかの帳簿類をそろえなければならない。この作業は、パソコンソフトのおかげで昔よりはずっと楽になったものの、それでも時間はかかる。入力ミスは当然生じる。すると金額が合わない。ミスを見つけるのにも時間がかかる。


一部には自分が「もの凄く忙しいらしい」と聞いて、「オレも独立しようかな」なんて大出版社の記者から、冗談混じりに言われることがある。独立するなら、少なくとも5年くらいは周到に準備して欲しい。自分のケースは例外だと、自分は異常だと思う。親が個人事業主で、事業の辛さをずっと見てきた。自分には個人事業はできないと思ったからこそ、会社員人生を選んだ。そのくせ、新卒で入社したときから、独立の可能性を考えて少しずつ、ずっと準備してきた。準備期間は20年近くに達した。5年ほど前に転職し、スタートアップ企業に入社したのも、独立の可能性を踏まえて経験値を積むという理由が含まれていた。


個人事業の参考書や脱サラの参考書は当然、10年以上前と、最近にも何冊か読破した。いずれも、「土日もなく働く覚悟がないと独立してはならない」と書いてある。独立した結果としての感想は「順番が逆だな」。独立した結果、まともに働いてまともに稼ごうとすると、土日も働かざるを得くなるのだ。事業的に独立したい、事業を安定させたいという気持ちが、土曜も日曜もなく、自分を動かす。そういった衝動に突き動かされ、働いてしまう。先にも述べたように、脱サラ1年目は出費が格段に増える。穴の空いたバケツに水を注いでいるような気分になる。稼がないとバケツの底が見えてしまう、という強迫観念に支配されているのだ。


何事も最初は、いろいろなトラブルに遭遇する。カネ絡みのトラブルは、友情や人情など、簡単に崩壊させる。重さは紙ほどもない。逆に、カネ絡みのトラブルを抜けてまで付き合える相手は、ものすごく貴重だし、それこそ「カネでは絶対に買えない」関係となる。


事業は収入なしには成立しない。だからといって、事業を動かす燃料はお金だけでは決してない。カネをドブに捨ててでも、守るべきものがある。多くの人間はカネで動くが、カネだけでは動かないのもまた人間である。


昨日の件(契約破棄)で生じた収入減は××万円におよぶ。正直言って痛い。
痛いが「カネで転ぶ気」はまったくないので、しかたがない。
決断自体はひとかけらも間違っていないと断言する。取引基準を満たさない事態が生じた。それだけのことである。
しばらく前にも年間で×××万円の大仕事を、ある理由から、袖にした。
これも事業的には、100%正しい決断だったと今でも思っている。


こんな自分にも人生の師匠と仰ぐ方がいらっしゃる。その方は20年以上前に事業を起こし、企業を従業員が数百人の上場企業(昔の上場基準のとき)にまで育て上げた方である。師匠には前の会社と係争中にご挨拶がてら、相談に言った。師匠は、それはそれは厳しかった。独立には反対された。会社を退職することにも反対された。「独立してカネを稼ぐことの難しさ」を、いくつか理由を挙げて明確に述べられた。胆に命じた。


師匠との議論は3時間を超えた。今でもはっきり覚えているのが、人間関係に関する事柄である。「事業に携わるのならば、人間関係に振り回されてはならない。人間関係の切り捨てをためらうな」と言われた。私は強く反論した。「そんなことを言われても、実際には難しい」。師匠はまったく動ぜず、「古い関係が疎遠になれば、その分だけ、新しい人間関係が生まれるだけのこと。何も心配は要らない」と静かに諭した。


独立してわずか半年で、仕事関係のネットワークは一部を除き、総入れ換えとなってしまった。師匠の言葉は事実になった。
雑誌の看板ゼロ、会社の看板ゼロでも、拾ってくれる方がいらっしゃる。
納得できないことがあって噛みついても、誠意のこもった対応をしてくださる方がいらっしゃる。無礼者はこちらなのに。




トラブルはすでに数えきれない。
耐えた数は星の数と同じか。
それでも日々は、輝いている。
面白くない出会いなどない。
出会えて良かったと思える相手ばかり。
すべては明日のために。