外科手術で使われる鉗子を遠隔操作するシステムを見学させていただきました。
腹腔鏡手術向けのシステムです。マスタースレーブ方式になっており、マスター側で医師が操作した動きをスレーブ側でまったく同じにトレースします。
写真は鉗子を保持する機構です。右手前でマスタ側の保持機構を動かしてやると、左下にあるスレーブ側が同じように動きます(写真では分かりにくくてすみません)。
マスター側とスレーブ側の両方に空気圧シリンダの駆動系を搭載しています。両者がパソコンを介して内圧と変位の情報をやりとりすることによってスレーブ側における機械抵抗(生体組織を処置することによって生じる)をマスター側に返しつつ、全体を制御する仕組みです。
実際に動かしてみると不思議な感触です。スレーブ側を手で固定すると、マスター側が急に動かしにくくなります。
ハードウエアとソフトウエア(リナックスベースでした)、シミュレータを開発済みでした。大学院生(修士課程)の方がほぼ1名でシステムを構築しています。パソコンの能力が上がっているとはいえ、ここまでのモノを一人で作れるとは。ちょっとした驚きです。
システムを見学させていただくとともに、当ブログへの掲載を許可してくださいました東京工業大学精密工学研究所の川嶋健嗣助教授にこの場を借りて御礼申し上げます。