Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

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国際学会の発表機関をなぜ「国別」ではなく、「国・地域別」の分類で表記するのか。「台湾」を国家と認めない中国の圧力が背後に

日本を含めた海外のできごとを分類するときに、大きくは「地域」が良く使われます。「米国」あるいは「米州(南北アメリカ)」、「欧州」、「アジア太平洋」、「日本」などですね。最近は欧州と中東、アフリカをまとめた「EMEA(Europe, the Middle East and Africa)」という表記も良く出てきます。


これらの地域をさらに細かく分類するのが「国籍」や「国」などなのですが、ここでときどき、困ることがあります。それは中華人民共和国(中国)と中華民国(台湾)の関係です。日本は中国と国交を結んだときに「中華民国を正当な国家とは見なさない」と約束しています。このため、台湾には日本の大使館が置かれないとか、エアラインが台湾線だけ別会社であるとか(中国線を持っている会社は台湾には飛ばせない)、といったややこしいことになっています。


その余波が、プレスの世界にも及んでいます。北京支局をおいているマスコミ各社は台北支局を置いていないというのは割りと知られています。



もっと変なのは記事で、「台湾」を含んだ分類に「国」と書けないことです。市場統計などの分類に台湾が含まれているときは、「国」とは書かず、例えば「国・地域」と書いたりします(自分もそうしています)。先ほど説明したように「地域」というと欧州とかアジアとか、もっと大きなくくりになるのが普通なんですけど、台湾を「国」と表記できないために、おかしなことになっています。


個人的にはこんな細かいところにまで中国の圧力が及んでいるのは好きではありません。事実上は台湾は国家として機能していますし。でも仕事ですからね。そんなわけで国際学会の記事では、発表機関を「国別」ではなく、「国・地域別」と書いています。いくぶんかのやましさを感じながら。