Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

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中央リニア新幹線の将来が怖ろしすぎる

まず立場を明確にしておく。自分は「中央リニア新幹線」の建設には反対である。


参考:リニア中央新幹線ホームページ
http://www.linear-chuo-shinkansen-cpf.gr.jp/


なぜ反対か。理由は概ね二つある。
一つ目は単純で、採算が取れないどころか、JR東海を破産させかねない大赤字になる可能性が極めて高いからだ。


JR東海の工事実施計画によると、中央リニア新幹線(品川〜名古屋間)の総工事費用は5兆円強とされている。
http://www.linear-chuo-shinkansen-cpf.gr.jp/topicks20140826.html
問題は総工事費用を回収できるかどうかだ。


中央リニア新幹線の維持費用は、おおよそ1800億円(年間)であるとJR東海は推計している。また50年間での設備更新費用は3兆円あまり。1年だと600億円になる。合計すると2400億円かかる。
http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000005565.pdf


収入はどのくらいだろうか。発表されているのは従来の新幹線「のぞみ」の700円増しという超低価格運賃である。ここでは仮に、1万2000円としよう。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130918/trd13091823110010-n1.htm


日本経済新聞のオンラインコラム「リニア新幹線、開業すると何が変わる?」
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO60280160X20C13A9TY1P01/
によると、1時間に5本程度の列車が運行される。
仮に営業時間を午前6時から午後10時とすると、16時間/日となる。


1編成の乗客数は約1000人と見込まれている。
http://www.linear-chuo-shinkansen-cpf.gr.jp/gaiyo3.html


そこで年間収入を計算してみよう。
16時間に10本ずつ走行するので、1日に160本が運行される。
そして1000人を運ぶ・・・いやそれはあり得ない。乗車率が100%になってしまう。
新幹線でも60%弱なのである。そこでリニア中央新幹線は仮に60%とする。
すると600人になる。600人を160本で運び、運賃が1万2000円だとすると、
1日当たりの収入は11億5200万円である。


年間365日を運行すると、年間収入は4204億8000万円となる。約4200億円だ。
これに年間維持費2400億円を差し引くと、残りはわずか1600億円である。
年間1600億円で5兆円を捻出するには、32年ほどかかる。


強く懸念されるのが、以上の費用推定はきわめて楽観的なものだということだ。
例えば南アルプスを貫通する難工事のため、総工事費用は増加する可能性が高い。また最近では建設費用が増加する傾向にある。6兆円を超えるかもしれない。


もっと問題なのが、東海道新幹線の採算悪化である。運賃差があまりないので、東京〜名古屋間は「のぞみ」の乗客が確実に減少する。つまり東海道新幹線の黒字が大幅に減ってしまう。


もう一つの理由は、5兆円の使い道が間違っていることだ。これについては次回に。
(続きます)


追記リニア中央新幹線計画には、経済性以外にも様々な問題が指摘されています。本エントリーでは議論を単純にするため、あえてふれていません。ほかの問題を指摘している参考書籍には、例えば以下のような本があります。ご参考までに。


悪夢の超特急 リニア中央新幹線

悪夢の超特急 リニア中央新幹線