PCWatch誌特約で掲載していただいている、VLSIシンポジウムのレポート。
その第4報はSamsung Electronicsによる7nm FinFET技術の講演です。
EUVリソグラフィを導入した量産用プロセスというのが売りです。
「Samsung、EUVリソグラフィ採用の7nm FinFET技術を公表」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/event/1064087.html
記事を読まれると分かります。「Samsungは国際学会VLSIをなめてます」(怒)。
なぜかというと、定量的な値が全然出てこないんですよ。ほぼすべてが相対値。
これで学会発表と呼べるんでしょうか。
デバイスの断面や加工パターンなどを電子顕微鏡観察した写真では、縮尺が入ってない。これはもう、学術論文ではないです。これじゃどのくらいの寸法なのか、わからないですよ。
もっと言ってしまうと、本当に7nm世代なのかすら、分からない。
最近の「XX世代」表記の定義はファウンダリ各社で違います。
だからこそ、実寸法の表記が意味を持ってくるのです。
実寸法がないと、比較ができない。それなのに、寸法を入れてこない。
国際学会で発表する意味が大きく削がれています。
どのくらい定量性がない発表かというと。
FinFET フィンピッチ なし
FinFET フィンの幅と高さ なし
CPP なし
M1ピッチ なし
M2ピッチ なし
以下MXピッチ すべてなし
試作FinFETのオン電流とオフ電流 なし
試作FinFETのgm(相互コンダクタンス) なし
試作FinFETのSS(サブスレッショルド係数) なし
試作SRAMセル寸法 なし
試作SRAMダイ寸法 なし
試作SRAM動作周波数・消費電流 なし
といった惨状です。ちょっとひどすぎます。