Electronics Pick-up by Akira Fukuda

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ノンフィクションかと勘違いしてしまうほどの傑作:太平洋戦争と海軍航空兵の実態を描いた「永遠の0(ゼロ)」

今年もまた、8月15日がやってきます。
1941年12月に始まり、1945年8月に終わった太平洋戦争を描いた小説が「永遠の0(ゼロ)」です。一航空兵の闘いの軌跡を、生き残った人間に語らせていきます。


永遠の0 (講談社文庫)

永遠の0 (講談社文庫)


憶病者と謗られつつ、自分に正直に生きた主人公。あの時代に兵士たちは何を考えていたのか。特攻作戦は昭和のテロリズムだったのか。小説なのに、小説のように読めません。ドキュメンタリー、あるいはノンフィクションのように感じてしまいます。それほど迫真に満ちた描写です。海軍航空兵の訓練と戦闘、考え方、日米の航空機、日米軍幹部の兵士に対する考え方の違い、当時の新聞の責任、などが記述されており、とても参考になります。


ただし、この作品は太平洋戦争の通史を知っているかどうかで、理解度がかなり違うと思います。筆者は中学生のときに第二次世界大戦ブックスを図書館で50冊くらい読破したおかげで、おおよそのできごとの順番が掴めています。本書も各章は戦史の時系列を崩さずに作ってあるので、理解はしやすいのですが、背景のできごとを掴めていないと、少し分かりづらくなるかも知れません。


注意すべきなのは、太平洋戦争の戦史をほとんど知らずに、本書を読んだ場合です。これを読んだだけで終わらせることは絶対に避けてください。必ず、太平洋戦争の戦史を学び、日中戦争を含めた一通りのできごとを知識として得てください。本書が描いているのは、当時の社会の一面です。感情的に没入しやすい傑作だけに、本書のトーンに引き摺られないようにしてください。


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