Electronics Pick-up by Akira Fukuda

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「新潟精密の民事再生手続き」詳報を日経エレクトロニクスが掲載

以前のエントリーで、日経エレクトロニクス/Tech-On!が新潟精密の件をフォロー期待と書きましたが、フォローアップ記事が掲載されました。


日経エレクトロニクス2008年3月10日号特報11ページ「深層:新潟精密民事再生法適用が示す、RF CMOSベンチャー経営の難しさ」
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/HONSHI/20080304/148441/
(注:上記URLには本文導入部のみ掲載)

RF CMOSベンチャー企業に共通の問題を挙げていますが、いろいろ不満があります。


「ASICの開発コストの高騰」→90nmのマスクコストが億単位なのはRF CMOSに限りません。何を手掛けているかを問わず、微細プロセスのASIC開発に共通の問題です。マスクコストが高すぎて企業経営に響くのであれば、「マスクコストの安い180nmプロセスで小さなチップを設計する」のが技術力を売り物にする企業でしょう。


「メインバンクの借り換え実施時期延伸」→RF CMOSベンチャーに限らず、中小企業であれば、長い間にはこのような目に遭ってきたはず。新潟精密の設立は昭和56年(1981年)なので、バブル崩壊を経験しています。

そして問題なのがココ。日経エレクトロニクスの記事は、新潟精密の業績には一切ふれていません。
新潟精密は2005年12月期に24億円の経常赤字を出していたこと(参考情報:帝国データバンク大型倒産情報:http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/2540.html)」が分かっているのに、なぜ業績の悪化を問題視しないのでしょうか。企業倒産の記事なのに、売上高と収支の情報がまったくなかったのには正直言って困りました。


新潟精密の「経営責任」はどこへいったのでしょうか?
新潟精密の経営者に甘い記事」との印象を受けました。

本文の最後だけは追加情報(今後の行方を示す)として参考になりました。ありがとうございます。