Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

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日経エレクトロニクス/Tech-On!がたびたび採り上げてきた新潟精密が民事再生手続きへ

日経朝刊を見て驚きました。新潟精密民事再生法の適用を申請したとあったからです。
関連記事「インテル キャピタル出資の新潟精密民事再生手続開始」(PC Watch
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0201/niigata.htm
追加情報(帝国データバンクの大型倒産速報)
http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/2540.html


新潟精密日経BP社電子・機械局のメディア(Tech-On!と日経エレクトロニクス)にたびたび採り上げられていました。
RF CMOS技術に秀でた企業として紹介されています。日経エレクトロニクスには、社長の談話記事が掲載されたことがあります。
気になるのは、ごく最近まで、何事もないかのように記事が掲載されていたことです。
2007年だけでも、以下のような記事が掲載されています。


Tech-On! 7月30日付け●「新潟精密光星電子に家庭用ラジオ向けチューナICを供給へ」
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070730/137070/


Tech-On! 7月25日付け●「「外付け部品を93%削減」,新潟精密がラジオ用1チップICを10月から量産出荷へ」
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070725/136747/


Tech-On! 4月26日付け●Intel新潟精密に投資,ノートPCやUMPC向けチューナICの開発加速へ
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070426/131825/


日経エレクトロニクス9月10日号45ページ●新潟精密 代表取締役社長 池田毅氏の談話記事
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/HONSHI/20070905/138762/




そして今回の記事です。
Tech-On! 2008年2月1日12時45分アップ●「新潟精密民事再生手続きへ」
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080201/146779/
http://www.oakcapital.jp/news/press/2008/080201001.pdf


負債総額が昨年(平成19年)3月末時点で162億円もあったことが引っ掛かります(日経新聞記事では開発投資負担が今回の申請理由として上がっています)。
新潟精密のホームページで同社の売り上げをチェックしました。
http://www.niigata-s.co.jp/about/ir/index.html
売り上げ高が2006年度実績で180億円強なので、かなり巨額の負債であることが分かります。【訂正】2006年度は決算期変更による18カ月決算でした。2005年12月期の売上高は136億円です。
2007年3月時点で売上高と同じくらい(あるいは売上高以上)の負債を抱えていたとは、いささか呆れます。


日経エレクトロニクスの2007年9月10日号45ページで池田社長は「開発投資額も150億円を超えています」と述べています。このコメントは15年間の累積額のようにもみえるので単年度の開発投資金額は良く分かりません。ですが、この時点でも相当額の負債があったことになります。インタビューした記者がそのことに気付いていたかどうかは分かりません。ただ、インタビューで新潟精密を訪問したときに、会社の雰囲気から何かを感じ取れたか。そのことは、わりと重要です。経験的には、会社の雰囲気は正直なことが多いので。


そして、新潟精密は技術者の求人を最近まで継続的に実施していました。
http://www.emanagement.co.jp/hellowork_item/15030-8867671/
http://kigyou.jobdirect.jp/electric/k006/230/0135290.html
http://www.niigata-s.co.jp/about/recruit.htm
多額の負債を抱えつつ、一方でエンジニアをさらに集めていたことになります。


Tech-On!や日経エレクトロニクスなどの記事が、求人の促進に一役買っている可能性は否定できません。もっとぶっちゃけて言ってしまうと、(新潟精密に限らず、中堅以下の企業を採り上げた大手メディアの記事は)求人だけでなく、出資を募ったり、引き合いを増やしたりする道具として使われています。
社長のインタビュー記事なんて、格好の宣伝道具となりえます。


で、民事再生です。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080201/146779/
この記事だけでは、これまでやってきたことを考えますと、少し素っ気無さすぎます。
何かフォローが有ると良いんですが・・・。