Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

誰がNOVAを殺すのか

NOVAがいよいよ酷いことになってきたようです。
講師の給与未払いが深刻化しています。
出勤しなくなったり、帰国したりする講師が続出しています。


現在、出勤してきている講師はボランティア活動のような状態です。
NOVAの生徒とのつながりといった情の部分で働いている状況です。
それもいつまで続くのかは分かりません。人間ですから、限界があります。


講師が本当に出勤してくるのか、当日にならないと学校のスタッフも把握できない状態です。
授業の予約はますます難しくなっています。
しかも予約しても、予約そのものがあてになりません。
当日になって講師が欠勤したので、予約していた授業がキャンセルされたりする状況です
(もちろん全部がキャンセルされる訳ではありませんが)。
当日キャンセルでは、生徒としては本当に困ります。


また解約しても、すでに解約金が支払われなくなっているようです。
講師の給料が払えない状態ですから、解約金が払えないのは当然とも言えますが
(債務としては従業員の給与のほうが、生徒の授業料よりもずっと優先度が高い)。



NOVAは死にかけつつあるように見えます。5000人以上の講師とスタッフと、40万人を超える生徒を巻き添えにしながら。


では、NOVAは殺されるような悪事を働いたのでしょうか。
自分は、「否」だと考えています。
ほかの英会話学校と比較した場合、NOVAの良い点(正確には「良かった点」)は数多くあります。


・授業料が圧倒的に安い
・授業料の支払い方法に柔軟性がある(選択肢が広い)
・少人数授業とマンツーマン授業をダイナミックに選択できる
・学校が近所にあるので通いやすい
・VOICEシステム(ある程度の大きさの部屋で講師と不特定数の生徒が雑談するシステム)


一方、NOVAが批判されているのは以下のような点です。


・講師のクオリティが低い
・解約金があまり戻ってこない
最高裁判所でNOVAは特定商取引法に抵触しているとされました。詳しくはこちらとかこちらを参照してください)
・営業が強引である
・契約内容に関する説明が不足している
(これも解約金訴訟の判決で問題とされた点です)
猿橋社長の手法に問題がある


この中には、英会話学校業界全体の問題と、NOVA特有の問題が混在しています。
NOVAとほかの英会話学校の両方に通った経験と、ほかの生徒さんの感想などを総合したところ、以下のように結論づけます。


・根本的な問題は、NOVAが英会話学校業界で最大のシェア(約半分)を占めていることにある
http://www.nova.ne.jp/ir/pdf/02market_share.pdf
http://www.nova.ne.jp/corporation/05gaiyou/marketshare.html


これがどういういことかというと、2番手の英会話学校でもシェアは12%くらい、NOVAのシェアは50%と圧倒的な開きが問題を大きく見せる作用がある、という意味です。
例えばNOVAの生徒を40万人、講師を5000人とします。
2番手の英会話学校をその20%の規模とします(NOVAは授業料単価が低めなので生徒数の割合が若干増える)。
すると生徒数は8万人になります。


仮に両方の英会話学校の授業やサービスなどの品質が同程度とすると、苦情の出る割合は同じになります。ここでは仮に生徒の0.5%が強い不満を持ち、国民生活センター等に訴えたことにします。すると苦情の件数は

NOVA 2000件
2番手英会話学校 400件

となり、NOVAでは2番手校に比べて5倍の苦情が発生します。ですから、NOVAに対する苦情やクレームなどの「件数」がほかの英会話学校に比べて圧倒的に多いのは、むしろ当然だと言えます。もしNOVAの苦情の「件数」がほかの英会話学校と同じくらいだったら、NOVAのサービスの顧客満足度は、圧倒的に他校よりも高いということになります。


もちろん、NOVAは生徒数が圧倒的に多いのだから、業界を主導するような最高品質のサービスを提供し、顧客満足度が業界トップで当然だという考え方もあります。しかし問題は、NOVAの授業料単価が他校に比べて相当に低いことです(特にまとめ買いの場合)。授業料単価が低いということは、常識として他校に比べて過大なサービスを期待してはならない、という節度が生徒に求められます。


個別に議論していきます。


・講師のクオリティが低い→授業料単価が低いことの裏返しといえます。レベルの高い講師もいますので、NOVAに長く通っている生徒は上手に講師を選んでいました

・解約金があまり戻ってこない→これはほかの英会話学校も同様でした


・営業が強引である→英会話学校の大半は、かなり強引な営業といえます。そのなかでもNOVAの対応はやっぱり少し強引かな、という印象です(個人的な感想です)


・契約内容に関する説明が不足している→これも英会話学校の大半は、スタッフの知識が不足しています。そもそも特定商取引法の詳細を知っている方がどの程度いらっしゃるのか、はなはだ疑問です


猿橋社長の手法に問題がある→これはネットではいろいろ出ていますし、現在は行方不明との情報すらあります。経営者である猿橋社長の責任は大きく、何らかの決着が必要でしょう


NOVAの経営は最近はあまり思わしくありませんでした。2007年3月期は、前年に続き赤字でした。そこに追い打ちをかけたのが行政処分です。


NOVAは特定商取引法に抵触していることを理由とし、経済産業省から2007年6月に行政処分を受けました(詳しくはこちら)。2007年12月13日までの半年間、新規の生徒獲得がほとんど不可能な状態になっています。
その結果として資金繰りが急速に悪化し、給料の遅延や未払い、解約金の未払いに至ったと考えています。


この行政処分は妥当なものだったのか(NOVAだけの問題なのか、英会話学校全体の問題なのか)。行政処分がNOVAの講師や生徒などに与える影響は考慮されていたのか。疑問はいろいろあります。

とはいえ、当面の優先順位は給料未払いと授業崩壊への対策にあります。
行政(政府あるいは経済産業省)が弱者である講師や生徒などに対し、何らかの救済策を打ち出す時期に来ていると考えています。


(そのほかの参考にしたリンクです)
http://webnews.asahi.co.jp/you/special/2007/u20071011.html

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1111264986

http://www.kcn.ne.jp/~ca001/C49.htm