Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

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駅前探検倶楽部には半導体回路設計技術が応用されていた


日本経済新聞10月9日付け夕刊で、株式会社「駅前探検倶楽部」がMBOによって独立すると報じられました。同社のウエブ・サイト「駅探」はいつも利用しており、東芝の子会社であることも知っていたので、一応全文を読みました。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2D09007%2009102007&g=S1&d=20071009
残念ながら上記のネット版には載っていないのですが、新聞記事の末尾に興味深い一文がありました。


「駅探」の経路探索技術は、東芝半導体回路設計技術を応用している、というものです。でも詳しいことは何も書いてありません。時事通信などの他社が配信している記事では、このことにはふれていません。気になります。
http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2007100900958


早速、インターネットで調べてみました。



最初に駅前探検倶楽部のリリースをチェックしました。お約束です。
http://ekitan.co.jp/news/press/2007/1009.shtml
駅前探検倶楽部は1997年に東芝社内ベンチャーとしてサービスを開始したこと、2000年に東芝子会社になったことが分かります。


経路探索技術について、それらしい記述があったのは下のページです。
http://www.cssa.chs.nihon-u.ac.jp/news/backnumber/20030621f.html
東芝半田恵一氏が関わっているようです。「駅前探検倶楽部を全国版に拡張する際に生じた問題を、グラフアルゴリズム的な手法で解決した」とあります。


さらに調べていくと東芝レビュー(2001年)が見つかりました。3名の著者の中に半田氏が入っていました。
http://www.toshiba.co.jp/tech/review/2001/12/56_12pdf/a03.pdf
これは参考になります。駅前探検倶楽部の経路探索技術が詳しく書かれています。
ただ、これだけですと半導体回路技術との関わりが分かりません。


そこで国立情報学研究所の論文ナビゲータを使ってみました。著者を半田恵一氏で検索しています。
http://ci.nii.ac.jp/search/servlet/Kensaku?dnum=25&sortType=year1&Text=&condition0=1&area0=auth&comb0=1&keyword0=%2F%C8%BE%C5%C4%2C%B7%C3%B0%EC%2F&conditionRange0=1&areaRange0=year&KeyRangeS0=&KeyRangeE0=&select=&pnum=1&mode=0&sortType_bottom=&AREACNT=1&JNUM=1&RANGE_AREACNT=1&SORTFLG=DESC&SORTKEY=year1&SORTMARK=0&USELANG=jp
この検索結果から、半田氏は1993年〜1995年ころに、遺伝的アルゴリズムをアナログ半導体回路の素子配置に応用する研究を手掛けていたことが分かりました。このあたりが出発点のようです。


がぜん、半田氏に対する興味が湧きました。お会いするとか、インタビューする機会がどこかでいただけると楽しそうです。