Interface2007年8月号(6月25日発売)特集
「組み込みコンピュータを用いた産業用システム開発」
http://www.cqpub.co.jp/interface/contents/2007/200708.htm
あまりにも地味なタイトルです。
余計なお世話ですが、書店での売れ行きが心配になりました。
ただし、内容は秀逸です。お薦めです。
組み込みシステムの開発に関する非常にまっとうな解説を載せた特集になっています。組み込みシステムの開発エンジニアになろうとしている方には、必携の1冊といえます。ボードコンピュータのベンダーでは、新人エンジニア教育用に配布して欲しいくらいです。
高く評価すべき点をいくつか挙げておきます。
1)x86系プロセッサを使ったボードコンピュータの世界を採り上げていること。
ボードコンピュータの世界では当たり前なのですが、インテルはPentiumプロセッサを組み込み用にも開発、販売しています。最近のベストセラーはPentium M(およびCeleron M)です。
組み込み用マイコンというと、SuperHマイコンやV850マイコンなど、あるいはARMやMIPSなどを想像する方もいらっしゃいます。それはそれで間違っていません。システムの台数でいえば、ARMはたぶん圧倒的でしょう。ですが、x86系の組み込みというのは絶対に忘れてはならならない世界です。
なぜかというと、パソコンで培われたx86系の豊富な資産が流用できるからです。「標準部品を使って安価に高性能なシステムを構築する」ための重要な選択肢がx86系です。少量生産品では特に大切だと思っています。
2)ボードコンピュータは、組み込みの大分野である産業用機器の共通プラットフォームであること
信頼性、可用性、安全性、それから応答性。産業用機器が要求する共通的な仕様に応えているのがボードコンピュータです。ボードコンピュータについて学ぶことは、組み込みシステムの基礎を学ぶこととほぼ等価だと考えています。
個人的な趣味で気に入っているのは「ポーリングの欠点について指摘した囲み(82頁)」です。リアルタイム制御システムの開発エンジニアにとっては当たり前のことなのですが。