Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

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高速PLCの事業認可取り消し訴訟


「高速PLCの事業認可取消を求めてアマチュア無線家など115名が行政訴訟(ImpressBroadBandWatch)
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/16463.html


電力線搬送通信(PLC)」は、交流100Vのコンセント(プラグ)を通じて屋内間機器同士で有線データをやり取りする技術です。有線とは電力線のことで、データ通信によって電力線から不要な電磁波が放射されます(放射雑音)。この雑音がアマチュア無線短波ラジオ等に影響を与えることが懸念されてきました。


今回の訴訟は、11月21日にPLCモデムに対して型式指定の認可が降りたことが直接の契機です。
原告団の公式サイトがこちらにあります。訴状がアップされる予定です。
http://plcsuit.jp/


なお、アマチュア無線家の組織である「日本アマチュア無線連盟JARL」では過去に放射雑音の測定実験結果などを元に、PLCがアマチュア無線に与える影響について懸念を表明してきました。


PLCに対する、JARLの取り組みの経緯がこちらにあります。
http://www.jarl.or.jp/jarl-qtc.htm
意見書がこちらにあります。
http://www.jarl.or.jp/Japanese/2_Joho/2-7_plc/20051121plc.htm
http://www.jarl.or.jp/Japanese/2_Joho/2-7_plc/20051121plc-iken.pdf
電流値(準尖頭値と平均電流)を問題にしていること、雑音レベルを田園レベルにまで下げるよう求めていることが分かります。


たこちら、2006年9月に公表された意見「高速電力線搬送通信(PLC)の総務省電波監理審議会での最終結論について」が大変参考になります。
http://www.jarl.or.jp/Japanese/2_Joho/2-7_plc/conclusion-plc.htm
この文書からは、雑音レベルを下げるためにいくつかの妥協をせざるを得なかったこと、現行発売されている機器のデータ伝送速度は5Mbpsがいいところで、現在の無線LAN(11Mbps or 54Mbps)には到底太刀打ちできないこと、雑音低減のためにモデムのコストが上昇すること、などが読み取れます。


PLCの前途は相当に多難です。