TSMCジャパン代表取締役副社長の小野寺誠氏から、興味深いご意見を伺いました。
「半導体製造の合弁は長続きしない」というものです。
半導体事業は景気変動の波が激しく、不況期が必ずといって良いほど訪れます。
利益を分けあうのはなんとかなるのですが、赤字(損失)を引き受けるとなると誰しも嫌がります。このため、不況期において合弁がうまく機能しなくなるというものです。
TSMC自身、同じ経験をしています。米国の半導体メーカー数社と合弁でWaferTechを発足させたのですが、後にはTSMCの100%子会社化したと小野寺氏はお話しくださいました。
ついでに、他社の例をいくつか調べてみました。
東北セミコンダクタ:東芝とモトローラの合弁として発足。モトローラの100%子会社から現在はフリースケール・セミコンダクタの100%子会社に。
トレセンティテクノロジーズ:日立製作所とUMCの合弁として発足。日立の100%子会社から現在はルネサス テクノロジの100%子会社に。
エルピーダメモリ:日立とNECの合弁として発足。2004年11月、東京証券取引所1部に上場。2005年9月末時点の日立とNECの持ち株比率はそれぞれ19.7%と13.9%であり、資本関係はかなり希薄になってきています。
スパンションLLC:富士通とAMDの合弁として発足。2005年12月16日、米NASDAQ上場。
ルネサス テクノロジ:日立と三菱の合弁として発足。日立55%、三菱45%。現在に至る。
野洲セミコンダクター:米IBMとセイコーエプソンの合弁として日本IBM野洲事業所で発足。現在に至る。
出資企業の1社が株式を100%買い取るか、上場して独立するかの結末を迎えることが多そうです。