Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

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コラム「セミコン業界最前線」を更新。「カーボンナノチューブメモリの最新状況」

PC Watch様から頂いておりますコラム「セミコン業界最前線」を更新しました。

2年前に同じコラムで紹介した「カーボンナノチューブメモリ(NRAM)」の続編です。
pc.watch.impress.co.jp
上は2年前の記事です。前後編の大ボリュームです。


そしてこれが続編です。
pc.watch.impress.co.jp


NRAM技術の開発企業であるNantero社が、DRAMを置き換える将来構想を立て続けにアナウンスしました。
2018年8月から9月にかけて、少なくとも3つのイベント(いずれも米国カリフォルニア州シリコンバレーで開催)で構想を発表しています。

そのまとめとなる解説記事を上梓しました。


置き換えシナリオの前提は主に3つです。
1つは、DRAMの大容量化が現在あるいは近い将来に停止する、あるいは鈍化すること
もう1つは、ナノチューブメモリ(NRAM)の微細化と高密度化が順調に進むこと
最後は、大容量ナノチューブメモリ(NRAM)の共同開発パートナーを大手の半導体企業から見つけられること

言い換えると、これらの条件が満足されない限り、置き換え構想は破綻する可能性が高まります。

一方、コンピュータシステムの主記憶に対する大容量化と低消費電力化の要求は相変わらず、強いものがあります。

1つの解答がNVDIMMなのですが、性能で満足できそうなのが3D XPointメモリだけというのが大きなネックです。
3D XPointメモリは市販されていません。Intelブランドのストレージ製品に組み込まれているだけです。
これからDIMM製品が登場したとしても、Intelブランドだけで、あまねく普及するとは思えません。


そこで3D XPointメモリに対抗できてなおかつ市販品である不揮発性メモリが、強く望まれています。
本当はMicron Technologyが3D XPointメモリを市販してくれると業界としてはありがたいのですが。
その兆しも見えません。


そうなると、DRAMの大容量化が進むことを祈るしかないのでしょうか。先行きは不透明なものがあります。