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参考エントリー 「専務 島耕作」第1巻を読む
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(注:以下は第1巻の内容にふれています。あらかじめご了承ください)
島耕作シリーズもついに社長編に突入。初芝電器産業は、同じエレクトロニクス大手の五洋電機と統合し、持ち株会社の初芝五洋ホーディングス(HGホールディングス)が設立されます。HGホールディングスの100%子会社として、初芝と五洋が存続する(ブランドもそのまま継続)、という図式になります。
そしてHGホールディングの初代社長が、島耕作という訳です。本編では社長の仕事とは何か、といった丁寧な解説がある・・・はずがありませんね(苦笑)。取締役編でも、常務編でも、専務編でも、仕事の内容は描かれてこなかったのですから。肩書先行、内容空虚であるシリーズの基本方針は社長編でも貫かれています。
最初のエピソードは子会社の独立騒ぎ。前社長の郡山氏の時代に左遷された元副社長で子会社社長がバイアウト、すなわち初芝グループからの独立を図ります。
このエピソードと並行して、海外進出、具体的にはロシア進出の話(つまりロシアのうんちく)が出てきます。ですが、日本政府の相手が元初芝電産の役員なのはいいとしても、外務大臣というのはちょっと違うような。経済産業大臣ではないのでしょうか。所轄からいうと。
そしてなぜか秘書室長が恐妻家でそれを島耕作の秘書(女性)がやり込めたり、女性秘書に島耕作がモテたり、といった、どうでも良い話が展開していきます。
そして韓国の大手エレクトロニクス企業ソムサングループのCOOが登場します。なぜか島耕作は初対面でCOOからの好感度が向上。子供のころの島耕作のエピソード(在日韓国人を差別しなかった)が出てきたからです。ご都合主義のシナリオが、続巻を読む気を削ぎます。
この程度のシナリオで作品に人気があり、単行本が売れるというのが、島耕作が女性にモテることよりもはるかに、島耕作の最大の謎。大した努力をせずに社長になり、社長になっても社長業の苦しさ(特に孤独感)を描くことはなく、楽しいことばかりですから。読者にとっては高揚感を得られるのでしょう。ビジネス物のファンタジー作品としては一流なのかもしれません。現実にはあり得ないストーリーこそが、娯楽作品の良さなのですから。といってもあまりにも現実から離れすぎると、やるせなくなります。
この後、シリーズは「会長 島耕作」(現在連載中)へと続んですね。あと、別雑誌では「ヤング 島耕作」、「係長 島耕作」、さらには「学生 島耕作」(現在連載中)と若返っていきます。悪い冗談を読まされているようで、嫌になってきます。