Electronics Pick-up by Akira Fukuda

日本で2番目に(?)半導体技術に詳しいライターのブログ

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コラム「セミコン業界最前線」を更新。半導体ブームが東から西へ移動してきたという歴史物語

PC Watch様から頂いておりますコラム「セミコン業界最前線」を更新しました。


pc.watch.impress.co.jp


【福田昭のセミコン業界最前線】半導体ブームは西へ ~米国、日本、韓国、台湾そして中国 - PC Watch


半導体ブームが東から西へ、時間の経過とともに移動してきたという話です。
半導体業界では俗説として言われていたもの。それをセミコンチャイナの基調講演で
KLA-TencorのCEOをつとめるRick Wallace氏が解説してくれました。

簡単にまとめると。
米国→日本→韓国→台湾→中国という流れです。10年単位でブームが西へ動いてきたというものです。


記事では触れていないのですが、「半導体は西へ」という俗説には、もう少しシナリオがあります。
1つは古くからある俗説の証拠で、米国内での「東から西へ」です。

元々、半導体産業は東海岸で始まりました。1947年ベル研究所トランジスタが発明されたのは良く知られています。
そして東海岸寄り(正確には東海岸寄りの南部)の半導体企業、テキサス・インスツルメンツモトローラ(いずれもテキサス州)が1950年代に半導体トランジスタの量産を開始します。

それが、ショックレー半導体研究所が西海岸で誕生したのをきっかけに、1957年に西海岸でフェアチャイルド半導体が設立されました。西海岸における本格的は半導体メーカーの誕生です。フェアチャイルド半導体がICを生産するのと同時期に、テキサス・インスツルメンツがICの量産を始めます。いずれもICの発明企業です。
そして1960年代後半から1970年代前半には、西海岸(厳密にはシリコンバレー)が半導体ブームの中心となっていきます(東海岸でも半導体ブームが終わったわけではなく、継続しています)。
インテルが西海岸に設立されたのは1968年です。
モステックが東海岸に設立されたのは1969年です。


ですので米国のところは、「米国東海岸→米国西海岸」という東から西への移動があります。


そしてもう1つは、後から付け加えた俗説です。それは中国の次は「インド」だというものです。
すでにインドには、数多くの外国エレクトロニクス企業が設計拠点を置いています。
インドが「次のGO! WEST」になるのかどうかは、まだ分かりません。

映画「フライト・ゲーム」の主人公である航空保安官について少しだけ調べてみました

関連エントリー(前日)
飛行機の機内では決して上映して欲しくない、傑作サスペンス映画「フライト・ゲーム」 - Electronics Pick-up by Akira Fukuda


米国連邦政府の航空保安官を主人公にした映画「フライト・ゲーム」。


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あまり良く知られていないこの職業「航空保安官」のことを少しだけ調べてみました。


航空保安官は、もう少し正式には「連邦航空保安官」。
英文正式名は「Federal Air Marshal」。
エアマーシャル、スカイマーシャルとも呼びます。
米国連邦政府運輸保安庁(TSA:Transportation Security Administration)に属する組織、航空保安局(FAMS:Federal Air Marshal Service)がエアマーシャル制度を運用しています。

TSAは、FAMSを含めた様々な運輸保安の行政サービスを提供しています。そして求人広告を兼ねた公式の動画をYouTubeで配信しています。

FAMSに関する公式動画はこちらです。

www.youtube.com

動画を見ますと、現在のようなエアマーシャル制度が2001年の9.11テロをきっかけに成立していったことが良く分かります。
ブッシュ大統領がエアマーシャル制度の大幅拡充を決めてからわずか1カ月で600名のエアマーシャルが育成され、米国の国内線エアラインに配備されました。
現在では数千人のエアマーシャルが活動しているようです。


定番の情報サイトはウイキですね。ウイキは間違っていることもあるのですが、このテーマに関しては断トツの情報量を誇ります。
連邦航空保安局
連邦航空保安局 - Wikipedia
「スカイマーシャル」
スカイマーシャル - Wikipedia

エアマーシャルの訓練を伝えるこの記事も参考になります。
courrier.jp


米国のエアマーシャルはいくつかの事件が報じられています。

2005年11月にアメリカン航空機内で乗客がエアマーシャルによって射殺された事件です。
USATODAY.com - Air marshals thrust into spotlight

2014年9月には、ナイジェリアでエアマーシャルが注射器で刺されて入院するという事件が起きています。
www.afpbb.com


2017年4月に報じられた、デルタ航空の機内トイレにエアマーシャルが拳銃を置き忘れたという事件もあります。
www.cnn.co.jp

拳銃の置き忘れ。人間ですのでミスはありますが、なかなかに怖いです。


日本では2004年12月にエアマーシャル制度の運用が始まりました。「警乗」と呼んでいるようです。

正式文書がこちらです。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha04/12/121210_2/01.pdf

成田空港(千葉県警)、関西空港大阪府警)から始まりました。
最近では羽田空港(警視庁)でもエアマーシャル制度を始めています。
www.sankei.com


この記事がそれなりに参考になります。ちょっとあやふやな感じもしますが。
航空機警乗警察官『スカイマーシャル』の運用に見るハイジャック対策。万が一の対処の際には銃の使用も想定!機内で砕け散る特殊弾丸により、マッスル機内は傷つかない! | policemaniacs.com


日本でもJALANAの国際線には、エアマーシャルが搭乗することがある(全便は不可能)のは、間違いなさそうです。

飛行機の機内では決して上映して欲しくない、傑作サスペンス映画「フライト・ゲーム」

以前から気になっていた航空サスペンス映画「フライト・ゲーム」。ようやく視聴する時間が確保できました。

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結論から先に言ってしまうと「傑作」でした。

9.11テロ(2001年9月11日発生)をきっかけに、米国航空会社のエアラインには、「エアラインの保安官」こと「航空保安官」が機内に乗り込むようになりましたた。航空保安官はそれまで少人数でしたが、このテロをきっかけに数千人規模に大増員されたのです。

米国映画ですので、このことが前提になっています。1機に2名が乗務することになっているようです。航空保安官は拳銃を所持しています。映画を見る限りは、ですが。
ちなみに映画の製作年は2014年です。

そして映画の主人公が中年の訳あり「航空保安官」(リーアム・ニーソン)。いきなり、クルマの中で中年男性(主人公)がウイスキーをあおるシーンから始まります。アルコール運転???とか心配になります。でも、そうではなかったり。始めは少し分かりにくいです。

そして主人公は、ニューヨーク発ロンドン行きの米国系エアラインのビジネスクラスに乗務します(もちろん秘密に)。ちなみにもう1名はエコノミークラスに乗務(これももちろん秘密)。どうやらクラスごとに航空保安官は1名ずつのようです(事実かどうかまでは分かりません)。搭乗機が離陸して水平飛行に移ると、異変が起こります。

航空保安官が所持している専用回線のスマートフォン(というか、ブラックベリー?)になぜか、殺人を予告するメッセージが。「20分後に乗客1名を殺す。防ぐためには指定の口座に大金を振り込め」という脅迫でした。この専用回線は、普通の人間には使えないはず。なぜ使えるのか。そして誰がメッセージを送っているのか。

殺人を防ぐべく動き出す主人公。しかし、第一の殺人が起こってしまう。

深まる謎。見つからない犯人。そして第二の犯行予告がスマートフォンのメッセージに。

とにかくハラハラします。心臓に悪い悪い。

乗客リストをチェックし、犯人が指定する振り込み口座をチェックするため、地上のTSA(運輸保安庁、航空保安官は同庁の職員)と交信する主人公。すると驚愕の事実がTSAから伝えられる。困惑する主人公。そして混乱、惑乱。


旅客機の機内という密室を舞台にした殺人、というサスペンス映画。これを実際のフライト中に見る勇気はありません。




おまけ)「航空保安官」というシステムの課題(問題点)を浮き彫りにしようとする意図が、映画からは感じられます。2005年11月にはアメリカン航空の機内で、離陸前の乗客の1名が錯乱し、航空保安官によって射殺されるという事件が実際に起きています。拳銃を所持してエアラインに搭乗する航空保安官。自分の隣りに座っているかもしれないと想像すると、ちょっと嫌な感じです。

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米国系航空会社の国際線を中心に秘密裏に搭乗していると言われる、航空保安官。その仕事をうかがい知るためにも一度は見ておきたい。お勧めの映画です。


ちなみにアマゾンビデオですと、プライム会員は無料で視聴できます(プライム会員の無料視聴期間は終了することがありますので、現時点の情報とお考えください)。自分はプライム会員になっているので、こちらで視聴しました。

コラム「ストレージ通信」を更新。マイコン大手Infineonの埋め込みフラッシュ技術

EETimes Japan様から頂いておりますコラム「ストレージ通信」を更新しました。

eetimes.jp

マイコン大手Infineon Technologiesの埋め込みフラッシュメモリ技術 (1/2) - EE Times Japan


マイコン大手ベンダーのInfineon Technologiesが開発した埋め込みフラッシュメモリ技術「HS3P」を解説しております。

HS3Pはスプリットゲート方式と浮遊ゲート方式を組み合わせています。

Infineon Technologiesのウエブサイトで検索してみたのですが、なぜか「HS3P」をキーワードにしてもヒットしません。
それらしい技術を解説しているページも見つかりませんでした。


記事は講演概要の紹介なので書いていませんが、国際学会でHS3P技術を発表した論文は見つかりました。
この論文はTSMCとの共著なので、InfineonがHS3P技術の
マイコン生産を委託しているファウンダリはTSMCだと思われます。


詳しくは記事を眺めていただけると、うれしいです。